寝台特急「北斗星」の深き沼 その10 | 夜汽車の汽笛への憧情

寝台特急「北斗星」の深き沼 その10

毎度ご覧いただきありがとうございます。

 

「北斗星」の沼もだいぶ深いところに入ってきました。

今回は「北斗星」の名脇役とも言える、「ロビーカー」「ソロ・ロビー」について書いてみようと思います。

 

第五章 「ロビーカー/ソロ・ロビー」

 

 

 

「ロビーカー」は名前の通り、ホテルのロビーの様な定員外のフリースペースで、ソファーやテーブルを配しており、「サロンカー」や「ラウンジカー」などとも呼ばれています。

元々は国鉄末期に余剰となっていた食堂車を改造して「はやぶさ」に連結されたのが発端で、好評により他のブルートレインにも波及しました。列車の運行区間や需要により1両丸々「ロビーカー」となっているものや、寝台車の一角にミニロビーを設けているものなど、様々なスタイルのロビーが生まれています。

「北斗星」の場合はビデオ放映の他にシャワー室を併設しているのが特徴で、食堂車でシャワーカードを買うことにより利用できる様になっていました。

 

さて、「北斗星」に連結された「ロビー」あるいは「ソロ・ロビー」ですが、列車によって異なっていて、JR北海道担当の1・2号は合造車の「ソロ・ロビー」、JR東日本担当の5・6号は全室の「ロビーカー」となっていました。また、1989年に定期化した3・4号については、JR北海道・東日本双方とも全室の「ロビーカー」を連結していました。

 

なお、番外編的に、「夢空間」が連結された場合は、バーカウンターや自動演奏ピアノがついた「ラウンジカー」付くことになりますが、こちらについては別途記事にしたいと思います。

 

さて、「ロビーカー」に使用した形式番台区分は

・オハ25形500番台

・オハ25形550番台

となっていて、所属は500番台がJR東日本、550番台はJR北海道となっていました。

ロビーカーは定員外ではありますが、形式としては普通座席車扱いになっていたわけですね。

JR北海道持ちの550番台はわずか1両で、一見シンプルですが、そこで終わらないのが「北斗星」客車ですw

 

一方、「ソロ・ロビー」の形式番台区分は

・スハネ25形500番台

で、所属はJR北海道のみとなっています。

1形式のみですが、そこはみんな大好きJR北海道。期待に違わずカオスですwww

 

それでは、各形式区分番台について細かく見ていきましょう。

 

・オハ25形500番台

 

JR東日本が1988年の「北斗星」運行開始当初から連結している「ロビーカー」です。

501〜503の3両が用意されましたが、1989年の3・4号定期化に伴い504が増備されました。いずれもオハネ25形の改造車です。

1999年の定期2往復化までは3・4号の東日本編成と、5・6号で活躍し、その後は引き続き3・4号で活躍しました。面白いのは時折「夢空間」に連結されることもあり、この時には1つの列車の中に「夢空間」の「ラウンジカー」と併せて2両のラウンジカーが連結されていたことになります。長旅の休憩・談話室として活躍してきた「ロビーカー」でしたが、2008年の1往復化の際に定期運用を失い、503を残して廃車となってしまいました。

予備車となって廃車を逃れた503は尾久の車庫の片隅で眠っていましたが、トラブル等で定期の「北斗星」の編成が発車時刻までに戻って来られない時に、イレギュラー編成を組んで出動することもあった様です。このまま静かに一生を終えると思われた「ロビーカー」ですが、2015年の臨時列車化により奇跡の運用復帰となり、そのまま「北斗星」廃止まで活躍して終焉の美を飾りました。

 

内装はこんな感じです。未整備なので真っ白けですが、実際は茶色系ですw

室内は中央が大型のソファーと回転椅子、テーブルを配したラウンジとなっていて、デッキ寄りにシャワー室が備えられています。シャワー室は2部屋存在し、カードを食堂車で購入することで利用できます。デッキの反対側は自動販売機スペースとなっていて、種車にあったトイレ・洗面所は撤去されています。なお、1988年登場の501〜503のラウンジスペースには後付けで公衆電話スペースが取り付けられられましたが、後に公衆電話は撤去されて携帯電話スペースとなりました。これに対して、後発の504は改造当初から公衆電話スペースを自動販売機スペースの一角に配置されていました。

 

外観はこんな感じ。シャワー室部分に大きなロゴマークが付いた他は比較的種車の面影がよく残っています。
 
通路側はこんな感じです。こちらはロゴ以外種車の面影が強く残ってますね。

形態的には上にも少し書いた通り、504のみ車端部に電話スペースが設けられたため、501〜503は車端部に方向幕が残存しているのに対し、504のみ車端部の方向幕が撤去されて電話室用の小窓が設けられており、若干の形態変化が見られました。(模型は501〜503の物です。)JR東日本にしてはちょっとトリッキーですねw

Hゴムの色は503だけなぜか灰色で、他は黒だった様です。

 

模型の方は、501〜503についてはTomixの「東日本仕様」セットには大抵含まれていて、Hゴムは黒なので実質501,502という事になります。「さよなら北斗星」セットにも含まれていますが、こちらはHゴムが灰色となっており、ちゃんと503をモデル化しているところは最近のTomixらしい抜かりのないところでしょう。504についてはこれまでモデル化されていませんでしたが、今年8月に発売予定のセットに収録されることが決まっており、細かな部分でニヤリとする編成が組める様になりますw

一方、KATOからはモデル化されていません。

 

・オハ25形550番台

JR北海道が3・4号定期化に伴い用意した「ロビーカー」で、1両のみだったためJR北海道所属としては唯一の車両となっています。

1989年の3往復化から3・4号のJR北海道編成専業で活躍しますが、1999年の2往復化であっさりと定期運用を失ってしまいます。その後は主に臨時「北斗星」や「夢空間」のお供で活躍したりしていましたが、2008年の一往復化により余剰となり、廃車となってしまいました。解体は逃れてミャンマーに旅立っていきましたが、どうやら現地で放置状態の様です。勿体ないですね・・・。

 

さて、車内はラウンジスペースとシャワー室という構成はJR東日本の500番台車と同じですが、その座席配置は全く異なっていた様です。

電話スペースは当初から備え付けられていますが、ラウンジの一角に備えてある様な形だった様です。

さて、このJR北海道唯一のロビーカー。JR北海道だけあって、やはり一筋縄ではいきませんww

種車はJR北海道得意?のオハネ14形500番台・・はいいのですが、車体側面は大きな窓がずらっと並ぶ独特なスタイルとなっていて、寝台車らしい高い屋根とHゴム固定窓の引き戸以外は全く種車の面影がありませんwww

ロビーカーのロゴは東日本のものに比べると大人しいもので、JR北海道の北斗星車両でお馴染みのエンブレムがついています。帯もJR北海道らしく「アルコン帯」になっています。

他では見られない独特の風貌と、1両1形式区分番台であることから、紛れもない「珍車」です。

実車の写真も模型も持っていないのでテキストでしか紹介できないのが残念です。ぜひグーグル等で検索して見ていただきたいと思いますw

 

ちなみに、このオハ25 551は珍しい「同姓同名」車があることでも有名で、全くおなじ形式番号の車両がJR西日本にも存在していました。ちなみに、JR西のオハ25 551はトワイライトエクスプレスに連結されていたラウンジカー「サロン・デュ・ノール」の内の一両で、日本縦貫線経由で札幌まで顔を出していました。つまり、青森〜札幌間ではおなじ車番の車がおなじ線路上で活躍していた事になりすね。おそらくですが、ダイヤの都合上から運用中に並ぶことは無かったと思いますが、手稲の車庫では並ぶこともあったのではないかと思います。


さて、模型の方はTomixから昨年2月に幻の瞬殺「北斗星3・4号北海道仕様」セットに含まれていたのみで、ヤフオクでも1両1万円近くの高値で取引されています。紛れもない入手困難品ですね・・・・。「夢空間」のお供用に欲しいんですが、流石にこんな「ボッタクリだ値♪」では手が出せませんw

KATOはもちろん製品化していません。

 

・スハネ25形500番台

 

JR北海道から「北斗星」運用開始と同時に登場した「ソロ・ロビー」車です。名前の通り、B寝台個室の「ソロ」と「ロビーカー」の合造車となっている車両です。JR東日本は「ソロ」と「ロイヤル」を組み合わせましたが、こちらは「ロビーカー」との組み合わせになったのが面白いところですねw

 

室内はこんな感じです。

 

東日本の「ロビーカー」とは逆に、前寄り(デッキと反対側)にシャワー室を備えていて、車体中央部は狭いながらもソファーや回転椅子を備えるラウンジとなっています。ラウンジにはビデオ放映設備の他、電話スペース、自動販売機も備えられています。後ろ寄り(デッキ側)にはB寝台個室が「ソロ」が8部屋存在します。JR北海道のソロらしく、上下互い違いの中二階構造になっています。(模型では室内灯ユニットの都合で2階席の表現が省略されてます。)

一つの車両にコンパクトにギュッと凝縮されていて楽しいですねw

 

ここで一旦生い立ちについて記述しますと、「ソロ・ロビー」のスハネ25形500番台は1988年の「北斗星」の運行開始と同時にJR北海道担当である1・2号に連結されて運用を開始ししますが、当初は所定運用数2両に対して2両しか用意されなかったため、1989年に予備車を確保するため1両増備しています。

JR東日本と交互運用となった3・4号は全室のロビーカーを使用したため、「ソロ・ロビー」は1・2号専属となりました。2往復化後も引き続き使用され、運用ギリギリの数だったこともあり団臨等には使用されず、引き続き1・2号専属でした。2008年の1往復化後もJR北海道の優等寝台車が撤退する中、「ソロ」や「デュエット」と共に引き続き活躍し、2015年3月の定期列車運行終了を迎えました。

その後は廃車となりましたが幸い全車解体は逃れており、スハネ25 501が北斗市で保存されています。ただ、あまり保存状態は良くないようで、今後が懸念されます。

 

さて、スハネ25形500番台。たった3両ですがそこはやはりJR北海道。一筋縄で行くはずがありませんww

 

客室側の外観です。合造車らしいなかなか面白い窓配置です。シンプルな3本帯ながら、シャワー室部分にある。エンブレムが誇らしげです。
しかしそこは一筋縄でいかないJR北海道。実はこの姿の車両は1両しかいませんwww
このスハネ25形500番台は、3両いて3両とも姿が異なるのです!さすがとしか言い様がありませんwww
そもそも501、502はオハネ25形改造。1989年に追加増備されは503はJR北海道お得意のオハネ14形500番台改造です。ここでも「種車が違うのに続番号」が発動してますww
さらに、501と502で帯のパターンが違います。いやぁ、カオスですねw
501はいわゆる「アルコン帯」なのに対して、502は写真の通り3本帯です。さらに質が悪いことに、501は落成直後は3本帯だったのが、時期不明ながら途中からアルコン帯に変わっているのです。
問題児?の503はそもそも14系の改造編入車なのに加えて、ロビー及びシャワー室廊下の部分の窓が、上で記事にしたJR北海道の「ロビーカー」と同じ超大窓で、全く見た目が異なっています。ちなみに、ミニロビーの内装のレイアウトも若干異なっています。
それぞれの違いを表にしてみると
 
番号 種車形式 ロビー・廊下窓
501 オハネ25 アルコン帯(※) 通常窓
502 オハネ25 三本帯 通常窓
503 オハネ14 アルコン帯 超大窓
※落成直後は三本帯

 

恐ろしいですねw

トイレ窓については他のJR北海道の優等寝台車同様、1997年頃から埋められている様です。写真の物はトイレ窓があるので、それ以前の姿ということになりますね。

 

 

こちらが通路側の外観です。

オハネ25形改造の501,502は種車の面影を残しており、「ソロ」とミニロビーの境目に狭窓が挟まっていることを除けば比較的大人しい姿です。車体前後に室内仕切りの壁が見えるのは、なかなか魅惑的ですねw

上でも書いた通りこの写真は502ですが、モデルのプロトタイプとなった1990年時点では501も同様でした。(少なくとも1993年時点では3本帯だった事が判っています。)

写真のないオハネ14改造の503はソロ部分以外は大窓が連続する華やかな姿になっています。特異な姿だったので人気者でしたw

 ちなみに、見た目はバラバラな3両ですが、3両ともHゴムは灰色でした。客室ドアは503のみ14系由来の灰色Hゴム固定窓となってます。

 

さて、模型の方ですが、Tomixの方は501~503全てを模型化してます。凄いですねw

古い「北海道仕様」のセットではトイレ窓なしアルコン帯の501が設定されてますが、Hゴムが黒になってます。惜しいw。現行の1・2号セットは3本帯でトイレ窓付となっていて、501か502を選択可能です。Hゴムはちゃんと灰色ですw。いずれもオクなどでも手頃で、比較的入手しやすいと言えるでしょう。特異な503は「混成編成セットII」に収録されていて、瞬殺モノだっただけにオクなどでは高価取引されています。なかなか入手難易度高そうです。

比較的「北斗星」には消極的なKATOからも意外にも2タイプ出ていて、旧製品では502が、「DX編成セット」で503が収録されています。Hゴムは残念ながら黒のようですw

 

以上、「ロビーカー」、「ソロ・ロビー」の紹介でした。

次回は「北斗星」のもう一つの華である「グランシャリオ」こと食堂車について書いてみたいと思います。