年の瀬にやってきた2つの昭和の電車 | 夜汽車の汽笛への憧情

年の瀬にやってきた2つの昭和の電車

毎度ご覧いただきありがとうございます。

早いもので、あっという間に今年もあと僅かになってしまいました。

さて、2020年も終わりに差し掛かったこの12月に2つの昭和の電車が立て続けに入線してきました。

相鉄旧6000系(左)と東武8000系(右)です。

どちらも昭和30年代生まれの通勤形電車で、それぞれの会社の顔として活躍した電車です。
しかしながら、片や大手私鉄になる前の横浜のローカル私鉄でしかなかった頃のマイナーな電車ですが、片や全国規模で有名な大手私鉄のメジャーな電車で、色々と対照的ですw

相鉄旧6000系はマイクロエース製で、晩年によく見られた冷改仕様の8両編成。
先月買った相鉄9000系の影響ですっかり「相鉄熱」が上がってしまい、同社でおそらく一番多く乗っており、思い出深い旧6000系が気になったところで丁度タイミングよくオクに適価で出品があり、思わず手を出してしまいました。
10年以上前の製品なのですが、当時うっかり買いそびれていたので、長年の宿題を片付けたという感じですw


親戚の伯母の家が相鉄沿線にあった関係で子供の頃からよく相鉄線には乗ったのですが、その時に一番よく遭遇したのがこの旧6000系でした。当時最多勢力でしたから当然と言えば当然ですねw
いかにも昭和30年代のローカル私鉄然としたシンプルでどことなく垢抜けない造型は子供の頃にはイマイチに感じたものですが、大人になってからはそれが何とも味わい深く感じる様になってしまい、お気に入りの電車になり、引退直前には友人と乗りに行ったものでした。
その思い出の電車が入手できて感慨深いものです。

さて、相鉄旧6000系について軽く解説しましょう。
相鉄で数々の新機軸を搭載して夢のある仕様で登場した5000系に続いて1961年に登場した電車で、当時の路線環境や使用状況を考慮して設計された「新性能電車」です。
MT比1対1での使用を前提として、当時としては大きめな110kwの電動機を搭載。旧型国電並みの編成の柔軟性を保たせるため、M車は1両でシステムを完結できる所謂1M構成になっていて、1両単位での編成の増減ができるようになっているのが特徴です。
駆動方式は既に平行カルダン駆動が主流となっている中で直角カルダンを採用。また、途中から電動車を含めて台車外側にブレーキディスクが露出したディスクブレーキを採用するなど「相鉄らしさ」の原点を作った電車でもあります。
最盛期には120両となっていて、8000系以前の同社の最多勢力となっていました。
昭和45年には車体も基本仕様も異なりつつも制御回路を同一とした新6000系が登場しました。
一部編成では先頭が新6000、中間車が旧6000といった編成が常態化していた他、晩年には新6000系8連の横浜方に旧6000系を2両連結した10両編成が登場するなど、編成の柔軟性に対応した旧6000系の特性を生かした、地味ながらも新旧組み合わせで面白い編成が色々見られました。
文字通り相鉄の代表選手として活躍しましたが、8000系や9000系に追われて1997年までに引退しています。


新旧6000並び。右側が新6000系です。
新6000系が入線してから15年以上経ちますが、ようやく我が家でも新旧の6000系が揃いました。新6000系は運転会での出番も少なかったとですが、後輩の9000系も入線していることもあって、これからは出番も増えそうです。


一方、東武8000系はKATOが年末に製品化したもので、「さすがKATO」と言うべき製品になってます。これまでマイクロエースやGMキット、鉄コレなどで製品化はされていましたが、「これぞ決定版」と言える出来具合で、事前の予想に反してかなり売れている様です。
昔から東武8000系は欲しいとは思っていたんですが、各社から発売されている製品はどうにもピンとこなくて見送っていたところ、大本命とも言える製品が出てきて思わず飛びついた次第ですw
余談ですが、去年最後に入線したのがDRCこと東武1720型だったので、奇しくも2年続けて東武車で締めたことになりますねw

実を言えば、東武8000系自体はそれほど多く乗っているわけではありません。
しかしながら、埼玉の方の大学に通っていた事もあって大学時代にはそれなりに乗っていた他、地味ながら車体更新も含めて形態バリエーションが豊富で趣味的に面白みがあり、側窓も大きめでシンプルながら品の良いスタイルも好きな電車でした。
また、1M車とユニット車で異なる駆動音も魅力的でしたw

東武8000系についても軽く解説しましょう。
昭和30年代の東武は、特急用の電車(1700型や1720型)こそ当時最新鋭技術をふんだんにつぎ込んだ、いわゆる「高性能電車」でしたが、普通用の電車は、日比谷線に性能を合わせる必要のあった地下鉄乗り入れ用の2000系を除けば、急増する需要に合わせて一世代前の設計で旧性能の7800系を増備している状態でした。そんな中、さすがに7800系では仕様的に限界を感じたのか、1963年にようやく重い腰を上げるような形で登場したのがこの8000系です。
MT比を1対1として経済性を考慮した所謂「新性能電車」の類で、同時期に登場した国鉄103系との共通点も色々見られます。
しかしながら、東武は駅間の広い郊外区間をもち、準急運転も行っていることから加速・高速性能の両立も考慮しており、当時としては大出力の130kwモーターを採用した他、バーニヤ抵抗を使用した超多段制御を採用しており、国鉄103系と同程度の加速を維持しつつも高速性能は近郊形の113系並みとなっています。
長期に渡って製造が続き、最大712両もの大勢力になったことから「私鉄の103系」との異名も持っています。ちなみに同一系列で712両と言うのは私鉄では最大であり、この記録は未だに破られてはいません。

さて、東武8000系は1986年頃から車体更新工事が行われています。特に1987年度からの更新車は前面形状が大きく変化し、元々は上の写真の左(模型は5070型)の様なスタイルだったものが、右側の様に改造されました。
製造が長期間だったことから改造年次も長期に渡っていて、後期に更新されたものはヘッドライトにHIDを使用した上、表示器類はLEDとなったほか、室内にもLEDの表示器が設置されるなど「魔改造」レベルの改造が施されました。

8000系は登場から半世紀以上経ちますが未だに現役で、支線や本線の末端区間で活躍しています。
さすがに勢力の衰えは否めず、既に浅草や池袋で姿を見ることはできず、50000系ファミリーの投入や日比谷線直通への70000系列の投入による20000系のローカル転用改造などにより数を減らしています。しかしながら、支線運用に必要な2両運転ができる新型車は登場しておらず、その気配も見られない上、前面が原型を保っている8111Fは博物館に車籍を移して動態保存モードとなっており、過去帳入りする日はまだまだ先の事になりそうです。


現役東武並び。
左から8000系、350型、「スペーシア」こと100系です。
我が家も東武車がだいぶ増えてきました。なんだか一大勢力になりそうな気配です。

こちらは本線に乗り入れていた「マッコウクジラ」も加えた過去並び。
左から5070型、8000系、「DRC」こと1720型、営団3000系です。1990年頃には、春日部でこんな並びも見られたはずです。
うーん、こうなってくると、「りょうもう」や6050系ファミリー、10000系ファミリーなど色々増やしたくなってしまいますねw

さて、今年もスローペース更新でしたが、今回が本年ラストの投稿となります。
拙いブログではありますが、ご覧いただきありがとうございました。
来年もマイペースで投稿していきますので、よろしければご覧くださいませ。