京急のレジェンド現る | 夜汽車の汽笛への憧情

京急のレジェンド現る

毎度ご覧いただきありがとうございます。

 

今回は2月に入線してきた京急のレジェンドこと230形について書いてみたいと思います。

 




これが京急230形です。

小振の車体にズラリと並ぶ大きな窓が特徴的ですねw

かなり古い電車なのですが、更新工事によってアルミサッシ化も行われたことから非常にスマートな印象を受けます。

 

さて、軽く京急230形について解説しましょう。

 

京急230形は昭和4年に登場した、京急の前身である湘南電気鉄道デ1形と、その増備車であるデ26形、ほぼ共通設計となったもう一つの京急の前身である京浜電気鉄道のデ71形とその増備車デ83形のグループの総称です。

これらは戦時中に大東急電鉄5230形を経て京浜急行デハ230形にまとめられました。

 

基本的な仕様は全長16mで片側2扉となっており、登場当初は車内はデ1形とデ71形はドア間がクロスシートで他はロングシート、デ26形とデ83形はオールロングシートになっていました。時期は不明ですが、前者は後にオールロングシートに変更されています。

主電動機には当時としては強力な93kwのものを使用しており、元湘南デ1形は東洋電機製のTDK-553-A、それ以外は三菱のMB-115Fとなっていました。

現在でも京急の電車の電装品は一部例外(更新前の2100形やN1000形初期車、PMSM試験車)を除き基本的に東洋製と三菱製になっていますが、この頃からの伝統ということになるわけですねw

起動加速度も当時としては破格の3.2km/h/sと、現在の京急につながる高加減速性能を誇る電車になっていました。

実はこの電車、サードレール用の集電シューを取り付けることで銀座線に乗り入れ可能なように作ってあったとのことですが、様々な政治的な要因により銀座線乗り入れは頓挫しています。

 

さて、京浜電気鉄道と湘南電気鉄道は乗り入れ運転を行なっており、東京と横浜・三浦半島を結ぶインターバン電車として活躍しましたが、上で書いた通り、戦時中は大東急に統合され、デハ5230形となりました。一部が戦災空襲により罹災しましたが、クハ5350形として復旧されています。この際に3扉だった旧京浜デ101形と統合されており、クハ350形は3扉となっているようです。

 

戦後京浜急行として再発足する際に形式番号はそれぞれ5000が引かれ、デハ230形とクハ350形になりますが、程なくして輸送力増強のためクハ350のうち一部が電装され、デハ290形となりました。

その後、昭和38〜39年にかけて大規模な更新工事が行われ、アルミサッシ化やドア交換、標識灯の角形化などが行われて、今回模型化されホビーセンターKATOの鎮守としてお馴染みの姿になりました。

この際に、デハ290形は電装解除され、クハ350と合わせてクハ280形に改番され、番号もデハ230の続番になっています。

その後も戦前製としては破格とも言える性能で次々と登場する新型車に混じって活躍をするものの、増大する需要に対して車体の小ささ、ドアの少なさは否めず、次第に支線運用に追いやられていくことになります。

昭和44年から1号ATSの整備が始まりますが、先頭車を電動車とする方針となっていたことからクハにはATSは搭載されず、実質中間車となっていきます。やがて運転機器を撤去してクハ280形はサハ280形に変更されていきました。サハ280形は名実ともに中間車となったものの、この時すでに230形自体の引退も視野に入れられていたことから、元運転台側は乗務員室部分の撤去や貫通化などは行われず、外観上は灯火類の撤去のみとなっています。

 

昭和47年から老朽化による廃車が始まり、晩年は今回の模型のモデルとなった大師線で運用されました。大師線ではMc-Mc-T-Mcの4連を組み、T車には元230形の2扉車が入っていたのが特徴となっていましたが、寄る年波には勝てず昭和53年に全車が引退となり、京急を支えた名車はその舞台から去って行ったのでした。

 

なお、引退した230形は昭和52年から14両が遠く四国の高松琴平電鉄に譲渡され、小型ながら琴電の主軸の一角となってなんと30年間も活躍しました。

また、保存車も何両か存在しています。

268号車が鉄道模型メーカーのKATOの直営店舗である、ホビーセンターKATOの鎮守として綺麗な状態で保存されているのは有名なところですね。

特筆すべきは、川口市の公園で保存されていた236号車でしょうか。長年の屋外展示で荒廃して解体寸前となっていたところを、京急が本社移転に伴いミュージアムを開設するのに伴って引き取ることになり奇跡的な里帰りを果たしました。その後、関係各所の多大な努力により現役当時の様な綺麗な姿となって甦り、ミュージアムでその勇姿を見ることができる様になっています。

 

 



さて、模型の方をみていきましょう。

KATOは保存車両の268号を保持するだけあって、その造形は「さすが」としか言いようがありません。

以前にも特別企画品扱いでディスプレイモデルとして268号車をモデルとした製品を発売していましたが、今回登場したのは現役時代の晩年に活躍した大師線での姿がモデルとなっており、電装解除の上灯火類を撤去したサハ280形を含んでいるのが特徴です。いわば230形の「生きた姿」を模型で再現できる様になったと言うわけですねw


こちらがサハ280です。運転台跡が残っているため、一見先頭車の様に見えますが、ヘッドライトがないのがわかると思います。
屋根にベンチレーターがないのでツルツルな感じですねw



細い窓柱に支えられた天地の大きな窓がズラっと並ぶスマートな姿が見事に再現されています。製品として強度を持たせつつこの姿を再現するにはそれなりに技術力が必要だったのではないでしょうか。

アルミサッシとなり、ドアも窓が金具固定のステンレスドアとなったスッキリしたものになっているので、旧型の割には垢抜けた姿となっているのが特徴的ですねw


動力車は川崎寄りの先頭で唯一の奇数向き電動車である271号車となっています。空港線で活躍した3連や、2連の本線荷物電車としても遊べるようになっている様です。最も空港線の3連に挟まっていたサハは基本的に3扉車だった様なので、雰囲気を味わうと言った所になるでしょうか。


行先板と運行番号表示を着けました。

付いてないのと比べると現役らしさが一気に増しますねw



最後に、我が家の歴代京急車大集合。
230形からステンレスのN1000までの形態の変化が面白いです。

とりあえず今回はこんなところで。

次回以降は少し考え中ですw
入線順序をすっ飛ばして自分的にホットなものから紹介しようかなと思ったりしてます。
また、ノロノロしているうちにイロイロ入ってきてしまったので、またもやダイジェスト的に入線車両を紹介しようと思います。