夜汽車の汽笛への憧情 -4ページ目

寝台特急「北斗星」の深き沼 その13

毎度ご覧いただきありがとうございます。

 

「北斗星」の車両紹介シリーズもラストに近付いてまいりました。

模型工作ネタはもう少しだけ先になりますので、もう少々お待ちくださいませ。

 

さて、今回は「北斗星」の縁の下の力持ち。電源荷物車について書いてみたいと思います。

 

第八章 電源荷物車

 

 

今更ですが、「北斗星」には24系客車が使用されています。

24系客車はサービス電源を電源車から供給する集中電源方式を取っており、そのためには発電機を積んだ電源車が必要となっています。

 

「北斗星」も例に漏れず電源車を連結していますが、「北斗星」の電源車は空きスペースに小さな荷物室があり、電源荷物車となっています。

一般的な荷物輸送は1986年に終了しているものの、新聞や雑誌などの荷物輸送は今でも引き続き行われており、「北斗星」でも東北地区の朝刊などが運搬され、荷物室も本来の用途で利用されていました。

ちょっと脱線しますが、24系客車には荷物室のない電源車も存在し、カヤ24形という形式となっています。荷物室がない分短い車体で独特の存在感を放っていました。

 

さて、24系客車の電源荷物車といえばカニ24形が一般的ですが、「北斗星」も例にもれずカニ24形が活躍しています。酷寒冷地に対応するため様々な装備が行われ、500番台の番台区分が付きました。

ところが、1989年の定期列車増発に伴いカニ24形が不足し、異例の50系改造車、マニ24形も加わっています。

カニ24形、マニ24形ともJR東日本とJR北海道に配置されましたが、同じ「北斗星」用ながら両社で独自の歩みを遂げ、細かな仕様も異なるものになりました。

以下、そんな個性派揃いとなった両社の「北斗星」の電源荷物車を紹介していきたいと思います。

 

・カニ24形500番台

 

 

カニ24形500番台は、北海道に乗り入れる「北斗星」に使用するためカニ24形に酷寒冷地装備を施したものになります。

JR北海道、JR東日本の共通形式となっており、番号も続番号となっていますが、経年により独自の変化がもたらされています。

 

・JR北海道

JR北海道に配置されたカニ24形は3両で、番号は501〜503となっています。全てカニ24形0番台からの改造車です。

この3両はオロネ25形500番台などと同様国鉄時代に改造され、JR北海道に継承されています。

いずれも他の北斗星車両に合わせて金帯で、発電機器は廃車になるまで原型の物を使っていました。

このうち501は初期型であるカニ24 2からの改造車で、マイクロスカートが残っているのが特長でした。JR北海道にしては車両毎の変化は少なく、502と503はほぼ同じ姿となっています。

細かな特徴としては、JR北海道のカニ24形のHゴムは全て灰色のままで、発電機関も原型だったこともあり、比較的原型を保っていたというところでしょうか。経年変化としては、荷物ドアは改造当初金帯となっていましたが、後年通常のステンレスドアレールに変わっています。

 

外観はこんな感じです。灰色のHゴムで、屋根には4基のラジエターファンが見えます。側面にはガラリ窓がたくさんついているのも特徴です。金帯となっている以外はかなり原型に近い姿です。室内には排気量31Lの430psディーゼルターボエンジンが2基+発電用が搭載されています。

 

後部妻面は12系などから引き継がれた折妻ながら非貫通のHゴム3枚窓という独特の風貌になっており、幕式のトレインマーク表示器があります。

 

反対サイドです。不規則に並ぶ狭窓とガラリ窓がいかにも電源車の趣きです。発電用エンジンの音は勇しく、夜行列車の風物詩にもなっていました。

 

 

さて、JR北海道のカニ24形500番台は運行開始とともに1・2号に使用され、1989年の3・4号定期化に伴い、JR北海道担当編成の3・4号にも使用されます。1999年の2往復化後は1・2号及び臨時列車に使用されますが、2008年の1往復化後には定期運用を失ってしまいます。この時に501と503は廃車となり、仲間と共にミャンマーに旅立っていきました。502だけはトラブル対応時の予備車として車庫の片隅で居眠りをする日々を過ごし、稀にJR東日本車のカニ24が故障した際には廃車と見紛うほどのボロボロの姿ながら、ピンチヒッターとして活躍していました。2015年3月の定期運行終了時に最終運転で上り列車に使用したJR北海道車を札幌まで回送する際に使用され、これが最後の舞台となりました。

 

模型の方はTomixから初期の金帯バージョン、後年のステンレスドアレールになった姿双方ともモデル化されており、マイクロスカート付きの501も別途モデル化されています。流石に細かいところにこだわるTomixらしいところですね。Hゴムはちゃんと灰色になっています。なお、501については伝説の「瞬殺セット」に含まれていたため、中古価格も高く、入手はかなり困難になっています。KATOの方は旧製品で503がモデル化されています。運行当初時がモデルになっているためHゴムは灰色です。安心安心w

 

・JR東日本

「北斗星」においてはJR北海道とJR東日本を比べると大抵JR北海道の方がバリエーション豊富で沼になっていますが、この電源荷物車に於いてはJR東日本の方がバリエーション豊富で個性派揃いになっていますw

JR東日本のカニ24形500番台は全部で8両で、番号は504~511となっています。JR北海道の3両に対して随分数が多いですが、これは臨時列車を基本的に東日本で持っていたことと、「北斗星」以外の北海道乗り入れ列車に対応することを想定したことによるものです。

このうち、北斗星運行開始当初に用意されたのは504~509で、いずれも0番台からの改造でした。

このうち、マイクロスカートを持つ初期型(1~8)からの改造車も3両含まれていますが、いずれもマイクロスカートは撤去されています。

いずれも金帯を巻き、北斗星の「顔」として活躍しました。

一方、510および511は増発等によって1990年頃に増備されたもので、こちらは種車が100番台となっています。このため、車体は若干長く、後部妻面も切妻となっていました。

中でも510番は異色の存在で、帯は100番台由来の車両としては珍しい白帯(本来100番台車は銀帯または金帯)となり、配置も青森でした。これは「北斗星」用ではなく、青森地区からの臨時の北海道乗り入れ列車に使用する事を想定されたものだと思われますが、実際には「日本海」や「出羽」等に使用されたほか、「北斗星」にもピンチヒッターとして登板したことも何度かあるようです。このため、「北斗星」としては異例の「白帯電源車」として知られる事になりました。

なお、「北斗星」の担当だった尾久客車区(現車両センター)は「出雲」も担当していたため、夏季等には「出雲」用の100番台がピンチヒッターとして「北斗星」に入る事もあったようです。

さて、JR東日本のカニ24形500番台の特徴としては511番を除いて1991~1993頃に機関更新が行われていることで、発電用エンジンが小型で強力かつ防音ケースが付いて静かなもの(DMF15Z-G)に変更されたほか、発電機も更新されています。これに伴い、側面のガラリ窓の廃止やラジエーターファンの減少(4→2)が行われ、原型よりだいぶスッキリした姿になりました。

 

左がJR東日本の更新車、右がJR北海道の原型車です。ラジエーターファンが減っているのが判りますね。
 

511番だけは何故か更新対象から外れて、金帯となった以外は比較的原型を保っていました。

 

もう少し細かく形態を見てみましょう。

 

0番台改造の504~509の外観です。機関更新後の姿で、ガラリ窓のないスッキリした姿になってます。屋根もシンプルになりました。
発電エンジンはカバー付になり、音も少し静かになりました。(とは言え、それなりの音量はでてますがw)
大きなJRマークが目立ちますが、504~507、509は上寄り、508だけは下寄りについていました。
 

反対側はこんな感じ。4つあったガラリ窓が消えてスッキリしてます。Hゴムは東日本の更新車らしく全て黒でした。

510と511は100番台改造車なので、車体が少し長く、後部妻面は平面です。このうち、510は貫通扉が埋められ窓が拡大&Hゴム固定化された変形車で、何とも言えない独特の風貌となっています。(これはカヤ27となった後もそのままでした。)

510および511については模型をもっておらずここで画像を紹介出来ないのが残念ですが、510については夏に入手予定となっているので、その際には改めてアップしようと思います。

 

さて、JR東日本のカニ24形500番台はJR北海道の同形車に比べて複雑な生い立ちとなっています。

1988年、「北斗星」運行開始と共に504~509が登場し、5・6号および季節列車の3・4号で活躍を始めます。1989年の3・4号定期化の際にこれにともなう輸送力列車「エルム」が運行開始となり、こちらでも活躍を始めます。

1990年に臨時列車の北海道乗り入れの増強により増備を行うことになり、100番台改造車が登場します。品川に511が、青森に510が配置されました。一見「北斗星」と無関係に誕生した両者ですが、後に「北斗星」に関わって来ることになります。

1994年、品川客車区閉鎖に伴い、「出雲」用の客車が尾久に転属してきます。これに伴って511が尾久にやってきて、「北斗星」の一員として活躍するようになりました。なお、逆に「北斗星」用だった504~509が「出雲」での活躍も始めるようになりました。

青森配置の510は「鳥海」「出羽」「あけぼの」「はくつる」「日本海」の他「カートレイン北海道」で活躍。基本的には「北斗星」に入らなかったものの、多客期や検査都合等で尾久の500番台が不足した際にピンチヒッターとして「北斗星」でも活躍しました。

1999年の「カシオペア」運行開始と「北斗星」2往復化行われますが、これに伴い青森の510が「カシオペア」用の予備電源車カヤ27 501に改造されました。カヤ27として元510が尾久にやってくる代わりに504が青森に転属しています。また、運用範囲も「北斗星」3・4号と臨時列車、「出雲」となっています。

2006年、「出雲」廃止に伴い500番台車の「出雲」運用が終了します。この際に形態統一のためか100番台改造車の511が青森に転属し、コンバートされる形で0番台改造の504が尾久に復帰。再び「北斗星」の一員に加わりました。

一方、青森に移った511は「日本海」「あけぼの」用となり、「あけぼの」として上野に顔を出すことはあるものの、その後「北斗星」として使用されることはありませんでした。

2008年の「北斗星」1往復化により、ついに廃車が発生します。504と509が離脱し、505~508の4両体制となりました。その後、JR北海道の502の支援を受けつつ老体に鞭打って活躍を続けましたが、2015年についに「北斗星」の定期運用が終了。臨時化後も活躍を続けましたが、同年8月に「北斗星」の終焉を迎え、505~508も運命を共にしました。

青森の511も2015年春の「あけぼの」廃止に伴い廃車となり、カニ24形500番台は全て過去帳入りとなるのでした。

なお、511は解体を逃れ、小坂鉄道レールパークで動態保存され、時折発電機も回して保存車の電源車として活躍しているようです。

 

さて、模型の方ですがTomixは見事にフォローしています。504~509については「東日本編成」セットおよび「混成編成」セットに入っており、中古の弾数も多く比較的入手しやすいです。ただし、あまり古い製品はバックサインの照明が電球で室内がガランドウになっているので注意です。最近の製品は発電機のモールドまで再現されてますが原型のものであり、更新された角形の筐体は再現されていないようです。

「さよなら北斗星」セットでは北斗星最終運行時の508番が入っており、低い位置のJRマークをしっかり再現しています。さすがですねw

ただ、「さよなら」セットは瞬殺かつ元々機関車同梱で高価だったこともあってか、高値取引されているようです。

100番台由来の510と511については、510はモデル化がまだですが、今年8月発売のセットに収録されることになっています。511については「エルム」セットの電源車として番台されています。Hゴムは実車同様いずれも黒です。安心ですw

一方KATOはDX編成セットとして505が、「日本海」セットとして511がモデル化されています。100番台改造の511は貫通扉横の手摺が立体化されている優れ物です。KATOのDX編成セットは何度か再生産されて弾数も多いので比較的入手しやすいです。一方、「日本海」セットは意外と中古で出回っておらず、入手には苦労するでしょう。

 

・マニ24形500番台

 

これまでも何度か書いてきたとおり、「北斗星」は1989年に定期列車が3往復となり、それに対応して車両増備が行われています。

電源荷物車も例外ではなく、ちょうどカニ24形の余剰が無かったことから、なんと遊休車となっていた50系の荷物車、マニ50形を改造してJR東日本とJR北海道にそれぞれ充てることになりました。

こちらが改造前のマニ50形です。
これにDMF13Z-G形発電用エンジンとDM109形発電機を取り付け。さらに後部は監視窓とトレインマーク表示器を取り付けました。全体的な意匠を24系と合わせるためダミーの屋根カバーを取り付けた結果
こうなりましたw
なんと言うことでしょう!w
50系と狭い車体は生かしつつカニ24形に似せようとした妻面の狭い3枚窓が独特の風情を醸し出していますw
側面の窓配置は実は種車を生かしていますが、荷物ドアが撤去されたことで大幅にイメージが変わってますね。前部(写真では奥)の荷物ドアは半分サイズとした上で小型荷物室に生かされています。
サイドビューはこんな感じ。トイレは撤去され、元乗務員室部分に配電盤が設置されました。荷物室の大半は機関室となりました。
前部(写真左)はカニ24形同様の小型荷物室となってます。前後にデッキがあるのはマニ50形の特徴で、マニ24形でもそのまま受け継がれました。
 ラジエーターは床下装備となったためカニ24形の様な屋根上ラジエーターファンはなく、排気管のみ確認できます。
 
反対サイドはこんな感じです。カニ24形は左右で窓配置が異なっていましたが、マニ24形は種車どおりほぼ同じです。
こちらサイドは乗務員室側デッキ横の窓のみ種車から窓一個分移動しています。
 
24系客車に合わせた青20号に金帯三本の装いはどこか誇らしげにも見えます。カニ24をスリムにした様な顔が面白いですねw
上野~尾久で推進運転をする事からワイパーが付いていますが、改造当初はWアームワイパーだったのが、JR東日本車、北海道車とも時期不明ですがシングルアームワイパーに変わっています。
 
マニ50時代はは荷物列車や急行列車の荷物車として地味な活躍をしていた事を考えると、豪華寝台特急の殿を務めるのは大抜擢と言えますね!
さて、この魔改造車マニ24形500番台、民営化後に登場したものですがJR北海道、JR東日本の両社に1両ずつ配置され、仕様もほぼ同一とされましたが、生い立ちは異なるものとなりました。
以下、会社別に解説していきます。
 
・JR東日本
JR東日本のマニ24形はマニ50 2048から改造された501番でした。
特徴としては、全てHゴムは黒で、後部デッキの乗務員扉がマニ50形100番台車等と同じ落とし窓に変更されています。
予備車として1989年に登場していますが、カニ24形と混用されて幅広く活躍しました。東日本担当の「北斗星」5・6号や3・4号の他、臨時列車や「エルム」などにも使用されています。特筆すべきは1994年の「出雲」移管以降に「出雲」にも使用されていることで、東海道ブルトレの電源車としてはかなり異彩を放っていました。また、「夢空間」の電源車として活躍する場面も多く見られました。
1999年の定期2往復化以降は臨時列車の減少と共に徐々に活躍の場は減っていった様です。
それでもカニ24形と共に風変わりな電源荷物車として頑張ってきましたが、JR東日本は元々カニ24形の弾数に余裕があることもあり、2006年の「出雲」廃止で車種統一のトバッチリを受ける形で廃車となってしまいました。
 
・JR北海道
JR北海道のマニ24形はマニ50 2070を改造した502番です。基本的にJR東日本の501番と同じであるものの細かな特徴として、後部乗務員扉は種車由来のHゴム固定窓のものとなっていました。また、改造当初は全てHゴムが黒だったはずなのですが、経緯は経緯・時期は不明ながら少なくとも2003年以降に後部の3枚窓のうち左右の2枚が灰色に変更され(中央の1枚のみ黒)、特徴ある顔が更に個性的な物になりました。また、乗務員扉のうち1ヶ所だけ窓がやはり後天的に灰色Hゴムになっています。なお、詳細は不明ですが排気管の位置が501番とは異なっているそうです。
 
さて、JR北海道のマニ24形500番台もカニ24形と混用で活躍しますが、JR北海道のカニ24形は元々予備車が少ない事もあって、かなり頻繁に活躍する姿が見られました。JR北海道担当の1・2号を始め3・4号の北海道編成の他、「夢空間」を使った混成編成にも使用されています。1999年の定期列車2往復化後も臨時列車が運転されると予備車の無い状態となることからほぼレギュラーとして活躍しており、出番の減少した東日本の501番と対照的な活躍ぶりでした。しかしながら、2008年の定期列車1往復化により遂に定期運用を失い、カニ24 501、503と共に廃車となり、マニ24形はこの時点で形式消滅となりました。
マニ24形となってからは19年の生涯でしたが、種車のマニ50時代(9年間)よりも活躍期間は長く、十分に活躍したと言って良いでしょう。
 
さて、模型ですがTomixから501番がモデル化されており、「夢空間」セットに同梱されています。後部乗務員扉は写真の通り落とし窓となっていて501番の特徴が再現されています。「夢空間」は一度再生産を経ていることからそれなりに弾数はあり、旧ロットであれば中古市場でもそれほど高くありません。
KATOからはモデル化されていませんが、なんとマイクロエースから製品化されています。珍車好きのマイクロエースの面目躍如と言った所でしょうかw
こちらは「夢空間」セットの501番と「エルム」セットの502番がありますが、いずれも後部乗務員扉にHゴムがあるため、プロトタイプは502番であると思われます。 Hゴムは全て黒で、登場~2000年代初期の仕様といえそうです。
それにしても、こんな珍車がモデル化されるとは。良い時代になったものですw
 
今回はこれにておしまいです。
次回は車両紹介シリーズのいよいよラスト。フィナーレは「北斗星」ファミリーのスーパースターが飾ります。

寝台特急「北斗星」の深き沼 その12

毎度ご覧いただきありがとうございます。

 

気がつけばもう7月ですねw

長々とご覧いただいている「北斗星の深き沼」シリーズ。まだまだ続きますw

 

今回は「ソロ」及び「デュエット」を紹介したいと思いますが、両方とも車両を持っていないので、写真は「ロイヤル・デュエット」や「ソロ・ロビー」からの代用となることを予めご了承ください。

 8月中頃半ば衝動買いで入手してしまいましたw

と言うわけで、画像を差し替えのうえ、すこし記事内容も変更します。

 

 

第七章 「ソロ」「デュエット」

 

「ソロ」及び「デュエット」はB寝台の個室寝台です。

「ロイヤル」絡みで一度記述していますが、もう一度概要を書きますと、「ソロ」は安価なB寝台料金で利用できる一人用の個室、「デュエット」は同じくB寝台料金で利用できる二人用の個室です。いずれも廉価であるためスペースはカプセルホテル並ではありますが、プライベートな空間を占有できることで人気コンテンツとなっていました。

 

さて、「北斗星」における「ソロ」及び「デュエット」は「ロイヤル」や「ロビー」併設でスタートしましたが、その売れ行きに自信を深めたJR北海道は1991年以降に自ら担当する1・2号のB寝台を順次全個室化する計画を立てました。その際に登場したのが全室の「ソロ」及び「デュエット」車です。

もう一方の運行事業者であるJR東日本は収容力を重視したためか、開放B寝台を引き続き使用することにしたため、全室の「ソロ」・「デュエット」はJR北海道車のみとなりました。

 

さて、「北斗星」の「ソロ」及び「デュエット」は一社のみと言うこともあって、それぞれ1形式番台区分のみです。

さすがにオロハネ25形550番台のように「ソロ」と「デュエット」が続き番号と言うことはありませんでしたが、デュエットについては2期に分かれて登場しているので、細かな仕様の差異が発生しています。

それでは、それぞれ見ていきましょう。

 

・オハネ25形550番台

 

1991年に登場した全室「ソロ」客車です。24系25形を名乗っていますが、JR北海道得意の14系改造車ですw

デッキ横に車掌室がついているのが特徴で、元々オハネフが連結されていた5号車に連結されていました。

ソロの構造は「ロイヤル・ソロ」や「ソロ・ロビー」と同じ、上下の部屋が互い違いに配置される中二階構造で、全部で17部屋。元のB寝台の約半分の定員と言う事になります。

北斗星1・2号のみで使用するため2両だけの少数派です。運用で必要な両数ギリギリしか無いため、検査等で外れる時は「デュエット」車で代用したり、解放B寝台車を使ったりしたようです。

上で少し触れたとおり、2両はいずれもJR北海道お得意の14系改造車ですが、なんと座席車のオハ14形500番台からの改造でした。そのため車体は新製に近く、551と552で殆ど差違は無いようです。

 

外観上は客室側は小窓が上下互い違いに並ぶ「ソロ」特有の窓配置で、トイレ窓は当初存在しましたが、比較的早期に埋められたようです。

デッキ横には車掌室の小窓が付いています。
 
 
通路側は車掌がドア扱いするための確認用小窓がデッキ横にあるのが特徴で、また、方向幕が通路窓近くに配置されているなど、一見普通の14系寝台車の様でありながら、細かく見ると独特なレイアウトとなっています。

帯はいわゆる「アルコン帯」でJR北海道の北斗星車両特有のエンブレムも付いています。

B寝台車ながらちょっとリッチな感じですねw

他に面白い特徴としては、号車札が種別サボのような幅広のものになっています。

 

室内のレイアウトは基本的に「ソロ・ロビー」や「ロイヤル・ソロ」と同じですが、扉のロックがテンキー式だったり、押さえ金具の色が異なったりと細かな差違があるようです。

模型ではこんな感じです。

2階部分は導光材を通すため省略されてしまっていますが、狭い部屋が上下交互にズラリと並んでいることがわかります。
 

Hゴムについては、ドアのみ黒色。ドア上の行灯と方向幕は灰色です。模型メーカー泣かせですねw

 

さて、模型はTomixは「北海道編成セット」及び「混成編成セット」で模型化しています。いずれもトイレ窓の消えた2000年頃以降の姿になってるようですね。KATOはDX編成で製品化しており、やはり晩年のトイレ窓無しの姿です。両社製品ともHゴムは黒なので、気になる方は方向幕の方を色差ししましょうw

 

・オハネ25形560番台

 

 

1991年に登場した全室の「デュエット」客車です。

こちらは車掌室なしで個室が13部屋備わっており、「ロイヤル・デュエット」車のデュエット部分同様、上下互い違いの中二階構造になっています。「ソロ」よりは若干人口密度高めといったところでしょうかw

模型の室内はこんな感じです。
模型はライトユニットの導光材をとおすため2階の室内が省略されてしまっていますが、二人用の部屋が上下交互に配置されてる様子がわかります。
 

客室側の外観はこんな感じです。「ソロ」とよく似ていますが、「ソロ」と比べると窓が横に広く、ゆとりのある配置になっています。
 

さて、このオハネ25形560番台は、個室化を始めた1991年改造組と、追加で連結された1997年改造組が存在し、それぞれ種車が異なるJR北海道得意?のカオス構成ですw

 

1991年改造グループは2両で、番号は561,562になります。こちらはソロ同様、座席車のオハ14形が種車となっており、車体はほぼ新製されています。各部の特徴は「ソロ」と共通部分も多く、14系由来のHゴムドアや、車掌窓が無いことを除けば通路側の一見普通でいて特異な窓配置も同じです。
 
客室側の外観はこんな感じ。客室側に比べてずいぶんとシンプルですねw
帯はいわゆる「アルコン」帯で、エンブレムも誇らしげに装備していますw

方向幕が特異な位置にあるのも550番台と同様ですが、同時期に改造されているためか、561と562の間での差異はほとんど無いようです。また、「ソロ」同様、号車札が種別サボのような幅広のものになっています。「ソロ」同様、トイレ窓については早期に埋められたようです。

Hゴムについては、「ソロ」同様、ドアのみ黒色。ドア上の行灯と方向幕は灰色です。こちらも模型メーカー泣かせですねw

室内は基本的にオロハネ25形550番台の「デュエット」と同じですが、やはり扉のロックがテンキー式に変わっています。

 

一方、1997年改造グループは、これまで種車となっていた14系が枯渇したのか、JR北海道では珍しく「北斗星」で使っていたオハネ25形が種車になりました。こちらは正真正銘の24系25形というわけですねw

 

客室側の外観はこんな感じです。オハネ25形の窓配置が生かされていて、デッキ寄りに狭い窓が見られます。

こちらは4両の勢力で、番号は563〜566となります。例によって例の如く、種車違いで続番号という旧型客車のような構成になってますw

外観や内装の仕様は基本的にオハ14改造の561,562と同じですが、種車の違いによる細かな差異が発生しています。

大きな差異は通路側の窓配置で、14系改造車(上)が大窓9個なのに対し、オハネ25改造車(下)は種車を引き継いで狭窓+大窓8個となっています。窓のピッチもちょっと異なっていますね。通路側の方向幕については、24系改造車は14系改造車に比べてさらに内よりに配置されており、元非常口があった場所に取り付けられています。このため非常口の痕跡は全くなくなっています。
客室側については先行2両とはあまり差がなく、ドア窓が金具固定であることと、号車札が通常サイズであること位でしたが、なぜかこのグループはトイレ窓が埋められることなく運行終了まで残ったままで、窓が埋められた先行2両との大きな差異となっていました。

基本的に563〜566の中では差異はほとんど無いのですが、564だけは種車が0番台(他は100番台)であるためか、種車同様車番の位置が異なっていました。

Hゴムの色は1997年改造にもかかわらず全て灰色のようです。よくわかりませんねw

 

さて、模型はTomixは「ソロ」同様、1991年改造車、1997年改造車とも「北海道編成セット」及び「混成編成セット」で模型化しています。いずれも1991年改造車はトイレ窓の消えた2000年頃以降の姿になってるようです。両方が入っているのでナンバーを付ける際は注意が必要です。弾数はそれなりにあり、それほどバカ高いわけではないですが、発売時期が結構前なので、中古市場からも枯渇気味のようですね。

KATOはDX編成セットで製品化しており、こちらはナンバー付きで562,563,566がセットに入っています。ちゃんと562とそれ以外は作り分けされています。DX編成は2008年以降なので、562はトイレ窓無しの姿です。

両社製品ともHゴムは黒なので、気になる方は方向幕の方を色差ししましょうw

 

以上、今回はここまでです。

予め申し上げたとおり、模型を持っていないので写真が少なく、しかも代用ばかりですみません。

 念願叶って?入手したので写真特盛りになりましたw(8/19)

 

さて、いよいよ車両紹介シリーズも終わりに近付いてきました。

次回は電源荷物車について書いてみます。一見縁の下の力持ちですが、「北斗星」の電源車はなかなか曲者揃いですw

 

寝台特急「北斗星」の深き沼 その11

毎度ご覧いただきありがとうございます。

 

長々とご覧いただいている「北斗星の深き沼」シリーズも一番闇の深い所を超え、後半戦に入ってきました。

 

今回は寝台特急「北斗星」の主役が寝台車とすれば、もう一つの華である食堂車「グランシャリオ」について書いてみたいと思います。

 

 

第六章 食堂車「グランシャリオ」

 

 

古くから長距離を走る夜行列車と食堂車の関係は深く、戦前では優等寝台車の乗客のみ利用できる優等車両の扱いで上流階級のサロンとなっていたこともあります。戦後においては主に昼行区間の長い長距離列車に連結され、車窓を眺めつつ食事やお酒を楽しむ空間となっていました。小説「阿房列車」などでは昼間は食堂車に入り浸って酒を楽しんでいたという描写が何度かみられます。

厨房には火力の高い石炭レンジが用意され、レストランのシェフが腕を奮ったそうです。しかしながら、その食堂車も時代の変化と共に大衆化し、調理器具も防災のため火力の弱い電気レンジとなって提供できるものも限られてゆき、さらに合理化などでメニューが減らされた上に料理もシンプルなものになっていきました。結果、値段の割には・・・ということになり、食堂車も空席が目立つ様になりつつありました。

そんな中、国鉄末期にテコ入れが行われ、「あさかぜ」などで欧風客車を模した内装を煌びやかなものにするなどの潮流が生まれつつある所で、青函トンネルの開通と分割民営化がやってくることになります。

そんな中、国鉄は青函トンネル開通後に運転を予定している北海道連絡の寝台特急(後の「北斗星」)に備えて、新たな食堂車を用意することにしました。ところが、当時24系の食堂車であるオシ24形に余りが無かったことと、厳しい国鉄の財政状況に鑑みて新製を避けたこと、さらに電車特急用485・489系の食堂車に余りが出ていたことから、国鉄客車としては異例の電車改造の客車、スシ24形500番台が誕生しました。

内装は「あさかぜ」用のオシ24形700番台に準拠した欧風のものとなりましたが、外観はうえの写真の通りで、低い屋根や特急形電車独特の下膨れの車体断面、電車特有のTR69形台車など外観は電車時代の面影を強く残しており、「485系食堂車の北斗星塗装」といった風情になっていました。なお、電車時代には前後両側妻面に簡易運転台がついていましたが、撤去されています。

左は一般的な24系、真ん中がスシ24、右は低屋根客車の12系です。
通常と24系とは全く車体断面が異なることが判ります。また、12系と較べても屋根が低く、車体が上部に向かって少し絞りが入ってるのが判りますが、これが国鉄型の電車特急の車体断面の特徴です。
 

スシ24形のうち国鉄時代に改造されたのは3両で、いずれもJR北海道に継承されました。民営化直後にJR東日本で3両用意され、その後1989年の定期列車増発により両社で1両ずつ増備されていますが、形式に変更はなく全てスシ24形500番台となり、JR北海道とJR東日本で続番号となりました。

 

さて、「北斗星」の食堂車は「グランシャリオ」の愛称が付けられ、これまでにないサービス形態となったのが大きな特徴です。

予約制でフランス料理のフルコースを楽しめるようになっており、予め地上で調理しておいた本格的ものを途中で積み込み、車内で味わうことができるサービスとなっていました。また、パブタイムと称してファミレス並のメニューを提供する時間や朝食を提供する時間も設けていました。これにより提供される食事の品質が従来の食堂車に比べて大きく向上し、「グランシャリオ」は常に人気で満員状態となっていました。また、ロイヤルにはこれらの食事をデリバリーするサービスも行われ、豪華寝台列車に恥じないサービスが提供されていました。大抵この手のサービスは尻萎みになることが多いのですが、「北斗星」は運行終了までこのサービス形態を保ち、豪華寝台特急の名前にふさわしいものとなっていました。

 

以下、各社の車両の詳細について書いて行こうと思います。

 

・JR北海道

 

国鉄から引き継いだ3両と追加改造を行った1両の合計で4両が在籍していました。

ナンバーは国鉄引き継ぎ車が501〜503、追加改造車が508となっています。

JR北海道らしく4両所帯にもかかわらず3形態あるのはご愛敬と行ったところでしょうかww

501〜503は「北斗星」運行開始直前に国鉄改造時から軽く仕様変更を受けており、改造直後はテーブル配置が4人掛け+4人掛けに、端部分にソファーという配置だったのが、「北斗星」運行に際してALL4人掛け+2人掛けに改められています。また、外観上はJR北海道「北斗星」のエンブレムが追加され、外観上のワンポイントになっています。

 

模型の室内の様子です。まだ整備していないので真っ白ですが、実車の室内のカラーは木目調が基本のシックなものになっていて、テーブルランプは赤色のシェードとなっています。

模型でも赤色シェードは再現されていますねw

 

追加改造された508は基本仕様は同じながら、帯がアルコン帯もどき(縦帯なし)になっているのが異なります。

改造種車の関係で503のみ冷水器部分の屋根に大きなベンチレータが乗っているのが特徴です。また、501〜503は2000年頃に厨房部分の窓が固定化されましたが、508は廃車まで開閉可能なサッシ付きのままでした。

これらの形態の違いをまとめると以下のようになります。

 

番号 大型ベンチレータ 厨房窓(2000頃〜)
501 3本 固定
502 3本 固定
503 3本 固定
508 4本(アルコン帯類似) サッシ

 

なお、扉とトイレ窓のHゴムはいずれも灰色でした。

改めて外観を見てみましょう。

 

こちらは通路側です。背の低い屋根に分散クーラーが乗る姿はいかにも特急電車の趣きですねw車体長が通常の24系より短く、電車サイズなのも特徴的です。JR北海道特有のエンブレムがどこか誇らしげですねw

 

種車同様、冷水器部分にダクトがあるのがJR北海道車の特徴です。

 

 

こちらは厨房側です。写真の模型は1990年頃のモデルのため、厨房部分の窓は原形のサッシ付きで合っています。2000年頃から固定窓になっています。オリエント急行を思わせる赤いランプシェードはちょっとした憧れでした。

 

さて、JR北海道のスシ24形500番台は運行当初は1・2号に連結され、1989年の定期三往復化により3・4号の北海道担当編成でも活躍するようになりました。追加改造された508は若干内装の意匠が異なっていましたが501〜503と区別なく使用されました。

1999年の定期2往復化後は主に1・2号と臨時「北斗星」に使用されましたが、2008年の1往復化に伴い運用を失い、4両とも廃車になってしまいました。幸にして解体は逃れ、全車ともミャンマーに旅立っています。

 

模型はTomixから503を除いた各形態がモデル化されています。旧製品では厨房窓が固定された501,502が、現行製品では厨房窓が原型の501,502がセットに入っています。いずれも比較的入手はしやすいと思われます。508はいわゆる「瞬殺セット」に入っており、入手困難です。KATOからも旧製品で501が製品化されており、運行初期をプロトタイプとしているため厨房窓はサッシ付きです。Hゴムは模型も実車もいずれも灰色です。よかったよかったw

 

・JR東日本

 

JR東日本のスシ24形500番台はいずれも分割民営化後の登場で、504〜506が運行開始当初から、507が1989年に追加で登場しています。JR東日本らしく4両とも比較的仕様は揃っていますが、504のみ種車の関係で冷水器部分の屋根に大型ベンチレータが載っています。

厨房部分の窓はJR東日本車は全車とも1つ埋められて2つになっているのが特徴となっている他、冷水器部分の車体側面のダクトは埋められています。

外観上はシンプルな3本帯で、東日本車らしくエンブレムはありません。

室内は欧風としつつもパールシルバーを基調とした明るい雰囲気で、重厚な雰囲気のJR北海道車とは趣きが異なっています。テーブルに載っているランプシェードは白色で、改造当初は傘状のものでしたが、後年スタンド状のものに変わっているようです。

 

 

JR東日本車の通路側の外観です。

 

この様に、JR北海道車に比べて冷水機部分のダクトが埋まっているのと、エンブレムがないのがJR北海道車との大きな違いです。ランプシェードは透明パーツで表現されてますね。

 

 

こちらは厨房側です。厨房窓が2つになっているのが大きな特徴です。北海道車とは違い、最後までサッシ付きでした。

なお、Hゴムについては資材搬入扉のものが504だけ灰色であとは黒。従業員用トイレ窓(車端の円窓)は全て灰色だったようです。

 

JR東日本のスシ24形500番台は運行開始当初は5・6号。1989年からは3・4号の東日本編成でも活躍しました。追加改造された507は506までと仕様が同じで、当然ながら混用されました。1999年の二往復化後は3・4号で、2008年の一往復化後も引き続き使用されました。そしてそのまま2015年夏の運行終了を迎え、4両ともその後廃車になりました。

一部車両は解体されたもののかろうじて504は解体を逃れ、川口市内で静態保存されており、今でも食堂として営業しています。

この手の食堂は比較的短命であることが多いのですが、1日でも長く生き延びて欲しいと祈るばかりです。

 

模型の方は、Tomixから505〜507については各種「東日本仕様」セット及び「混成編成」「さよなら」セットに含まれており、比較的入手しやすい状態です。ただし、トイレ窓のHゴムは黒のようです。惜しいw まぁ、メーカーにここまで細かく再現しろというのは酷ですね。細かいことに、「さよならセット」ではランプシェードの形を変更しています。なかなかやりますね。504については今年8月発売予定のセットに含まれる事がアナウンスされています。Tomixの「北斗星」にかける情熱を感じさせますねw

KATOの方からは505が「DX編成セット」に含まれる形でモデル化されています。Tomixと同様、Hゴムは全て黒です。気になる方は色差しすると良いでしょう。

 

今回はここでおしまいです。

 

次回は「ソロ」「デュエット」について書いてみる予定です。

 

 

寝台特急「北斗星」の深き沼 その10

毎度ご覧いただきありがとうございます。

 

「北斗星」の沼もだいぶ深いところに入ってきました。

今回は「北斗星」の名脇役とも言える、「ロビーカー」「ソロ・ロビー」について書いてみようと思います。

 

第五章 「ロビーカー/ソロ・ロビー」

 

 

 

「ロビーカー」は名前の通り、ホテルのロビーの様な定員外のフリースペースで、ソファーやテーブルを配しており、「サロンカー」や「ラウンジカー」などとも呼ばれています。

元々は国鉄末期に余剰となっていた食堂車を改造して「はやぶさ」に連結されたのが発端で、好評により他のブルートレインにも波及しました。列車の運行区間や需要により1両丸々「ロビーカー」となっているものや、寝台車の一角にミニロビーを設けているものなど、様々なスタイルのロビーが生まれています。

「北斗星」の場合はビデオ放映の他にシャワー室を併設しているのが特徴で、食堂車でシャワーカードを買うことにより利用できる様になっていました。

 

さて、「北斗星」に連結された「ロビー」あるいは「ソロ・ロビー」ですが、列車によって異なっていて、JR北海道担当の1・2号は合造車の「ソロ・ロビー」、JR東日本担当の5・6号は全室の「ロビーカー」となっていました。また、1989年に定期化した3・4号については、JR北海道・東日本双方とも全室の「ロビーカー」を連結していました。

 

なお、番外編的に、「夢空間」が連結された場合は、バーカウンターや自動演奏ピアノがついた「ラウンジカー」付くことになりますが、こちらについては別途記事にしたいと思います。

 

さて、「ロビーカー」に使用した形式番台区分は

・オハ25形500番台

・オハ25形550番台

となっていて、所属は500番台がJR東日本、550番台はJR北海道となっていました。

ロビーカーは定員外ではありますが、形式としては普通座席車扱いになっていたわけですね。

JR北海道持ちの550番台はわずか1両で、一見シンプルですが、そこで終わらないのが「北斗星」客車ですw

 

一方、「ソロ・ロビー」の形式番台区分は

・スハネ25形500番台

で、所属はJR北海道のみとなっています。

1形式のみですが、そこはみんな大好きJR北海道。期待に違わずカオスですwww

 

それでは、各形式区分番台について細かく見ていきましょう。

 

・オハ25形500番台

 

JR東日本が1988年の「北斗星」運行開始当初から連結している「ロビーカー」です。

501〜503の3両が用意されましたが、1989年の3・4号定期化に伴い504が増備されました。いずれもオハネ25形の改造車です。

1999年の定期2往復化までは3・4号の東日本編成と、5・6号で活躍し、その後は引き続き3・4号で活躍しました。面白いのは時折「夢空間」に連結されることもあり、この時には1つの列車の中に「夢空間」の「ラウンジカー」と併せて2両のラウンジカーが連結されていたことになります。長旅の休憩・談話室として活躍してきた「ロビーカー」でしたが、2008年の1往復化の際に定期運用を失い、503を残して廃車となってしまいました。

予備車となって廃車を逃れた503は尾久の車庫の片隅で眠っていましたが、トラブル等で定期の「北斗星」の編成が発車時刻までに戻って来られない時に、イレギュラー編成を組んで出動することもあった様です。このまま静かに一生を終えると思われた「ロビーカー」ですが、2015年の臨時列車化により奇跡の運用復帰となり、そのまま「北斗星」廃止まで活躍して終焉の美を飾りました。

 

内装はこんな感じです。未整備なので真っ白けですが、実際は茶色系ですw

室内は中央が大型のソファーと回転椅子、テーブルを配したラウンジとなっていて、デッキ寄りにシャワー室が備えられています。シャワー室は2部屋存在し、カードを食堂車で購入することで利用できます。デッキの反対側は自動販売機スペースとなっていて、種車にあったトイレ・洗面所は撤去されています。なお、1988年登場の501〜503のラウンジスペースには後付けで公衆電話スペースが取り付けられられましたが、後に公衆電話は撤去されて携帯電話スペースとなりました。これに対して、後発の504は改造当初から公衆電話スペースを自動販売機スペースの一角に配置されていました。

 

外観はこんな感じ。シャワー室部分に大きなロゴマークが付いた他は比較的種車の面影がよく残っています。
 
通路側はこんな感じです。こちらはロゴ以外種車の面影が強く残ってますね。

形態的には上にも少し書いた通り、504のみ車端部に電話スペースが設けられたため、501〜503は車端部に方向幕が残存しているのに対し、504のみ車端部の方向幕が撤去されて電話室用の小窓が設けられており、若干の形態変化が見られました。(模型は501〜503の物です。)JR東日本にしてはちょっとトリッキーですねw

Hゴムの色は503だけなぜか灰色で、他は黒だった様です。

 

模型の方は、501〜503についてはTomixの「東日本仕様」セットには大抵含まれていて、Hゴムは黒なので実質501,502という事になります。「さよなら北斗星」セットにも含まれていますが、こちらはHゴムが灰色となっており、ちゃんと503をモデル化しているところは最近のTomixらしい抜かりのないところでしょう。504についてはこれまでモデル化されていませんでしたが、今年8月に発売予定のセットに収録されることが決まっており、細かな部分でニヤリとする編成が組める様になりますw

一方、KATOからはモデル化されていません。

 

・オハ25形550番台

JR北海道が3・4号定期化に伴い用意した「ロビーカー」で、1両のみだったためJR北海道所属としては唯一の車両となっています。

1989年の3往復化から3・4号のJR北海道編成専業で活躍しますが、1999年の2往復化であっさりと定期運用を失ってしまいます。その後は主に臨時「北斗星」や「夢空間」のお供で活躍したりしていましたが、2008年の一往復化により余剰となり、廃車となってしまいました。解体は逃れてミャンマーに旅立っていきましたが、どうやら現地で放置状態の様です。勿体ないですね・・・。

 

さて、車内はラウンジスペースとシャワー室という構成はJR東日本の500番台車と同じですが、その座席配置は全く異なっていた様です。

電話スペースは当初から備え付けられていますが、ラウンジの一角に備えてある様な形だった様です。

さて、このJR北海道唯一のロビーカー。JR北海道だけあって、やはり一筋縄ではいきませんww

種車はJR北海道得意?のオハネ14形500番台・・はいいのですが、車体側面は大きな窓がずらっと並ぶ独特なスタイルとなっていて、寝台車らしい高い屋根とHゴム固定窓の引き戸以外は全く種車の面影がありませんwww

ロビーカーのロゴは東日本のものに比べると大人しいもので、JR北海道の北斗星車両でお馴染みのエンブレムがついています。帯もJR北海道らしく「アルコン帯」になっています。

他では見られない独特の風貌と、1両1形式区分番台であることから、紛れもない「珍車」です。

実車の写真も模型も持っていないのでテキストでしか紹介できないのが残念です。ぜひグーグル等で検索して見ていただきたいと思いますw

 

ちなみに、このオハ25 551は珍しい「同姓同名」車があることでも有名で、全くおなじ形式番号の車両がJR西日本にも存在していました。ちなみに、JR西のオハ25 551はトワイライトエクスプレスに連結されていたラウンジカー「サロン・デュ・ノール」の内の一両で、日本縦貫線経由で札幌まで顔を出していました。つまり、青森〜札幌間ではおなじ車番の車がおなじ線路上で活躍していた事になりすね。おそらくですが、ダイヤの都合上から運用中に並ぶことは無かったと思いますが、手稲の車庫では並ぶこともあったのではないかと思います。


さて、模型の方はTomixから昨年2月に幻の瞬殺「北斗星3・4号北海道仕様」セットに含まれていたのみで、ヤフオクでも1両1万円近くの高値で取引されています。紛れもない入手困難品ですね・・・・。「夢空間」のお供用に欲しいんですが、流石にこんな「ボッタクリだ値♪」では手が出せませんw

KATOはもちろん製品化していません。

 

・スハネ25形500番台

 

JR北海道から「北斗星」運用開始と同時に登場した「ソロ・ロビー」車です。名前の通り、B寝台個室の「ソロ」と「ロビーカー」の合造車となっている車両です。JR東日本は「ソロ」と「ロイヤル」を組み合わせましたが、こちらは「ロビーカー」との組み合わせになったのが面白いところですねw

 

室内はこんな感じです。

 

東日本の「ロビーカー」とは逆に、前寄り(デッキと反対側)にシャワー室を備えていて、車体中央部は狭いながらもソファーや回転椅子を備えるラウンジとなっています。ラウンジにはビデオ放映設備の他、電話スペース、自動販売機も備えられています。後ろ寄り(デッキ側)にはB寝台個室が「ソロ」が8部屋存在します。JR北海道のソロらしく、上下互い違いの中二階構造になっています。(模型では室内灯ユニットの都合で2階席の表現が省略されてます。)

一つの車両にコンパクトにギュッと凝縮されていて楽しいですねw

 

ここで一旦生い立ちについて記述しますと、「ソロ・ロビー」のスハネ25形500番台は1988年の「北斗星」の運行開始と同時にJR北海道担当である1・2号に連結されて運用を開始ししますが、当初は所定運用数2両に対して2両しか用意されなかったため、1989年に予備車を確保するため1両増備しています。

JR東日本と交互運用となった3・4号は全室のロビーカーを使用したため、「ソロ・ロビー」は1・2号専属となりました。2往復化後も引き続き使用され、運用ギリギリの数だったこともあり団臨等には使用されず、引き続き1・2号専属でした。2008年の1往復化後もJR北海道の優等寝台車が撤退する中、「ソロ」や「デュエット」と共に引き続き活躍し、2015年3月の定期列車運行終了を迎えました。

その後は廃車となりましたが幸い全車解体は逃れており、スハネ25 501が北斗市で保存されています。ただ、あまり保存状態は良くないようで、今後が懸念されます。

 

さて、スハネ25形500番台。たった3両ですがそこはやはりJR北海道。一筋縄で行くはずがありませんww

 

客室側の外観です。合造車らしいなかなか面白い窓配置です。シンプルな3本帯ながら、シャワー室部分にある。エンブレムが誇らしげです。
しかしそこは一筋縄でいかないJR北海道。実はこの姿の車両は1両しかいませんwww
このスハネ25形500番台は、3両いて3両とも姿が異なるのです!さすがとしか言い様がありませんwww
そもそも501、502はオハネ25形改造。1989年に追加増備されは503はJR北海道お得意のオハネ14形500番台改造です。ここでも「種車が違うのに続番号」が発動してますww
さらに、501と502で帯のパターンが違います。いやぁ、カオスですねw
501はいわゆる「アルコン帯」なのに対して、502は写真の通り3本帯です。さらに質が悪いことに、501は落成直後は3本帯だったのが、時期不明ながら途中からアルコン帯に変わっているのです。
問題児?の503はそもそも14系の改造編入車なのに加えて、ロビー及びシャワー室廊下の部分の窓が、上で記事にしたJR北海道の「ロビーカー」と同じ超大窓で、全く見た目が異なっています。ちなみに、ミニロビーの内装のレイアウトも若干異なっています。
それぞれの違いを表にしてみると
 
番号 種車形式 ロビー・廊下窓
501 オハネ25 アルコン帯(※) 通常窓
502 オハネ25 三本帯 通常窓
503 オハネ14 アルコン帯 超大窓
※落成直後は三本帯

 

恐ろしいですねw

トイレ窓については他のJR北海道の優等寝台車同様、1997年頃から埋められている様です。写真の物はトイレ窓があるので、それ以前の姿ということになりますね。

 

 

こちらが通路側の外観です。

オハネ25形改造の501,502は種車の面影を残しており、「ソロ」とミニロビーの境目に狭窓が挟まっていることを除けば比較的大人しい姿です。車体前後に室内仕切りの壁が見えるのは、なかなか魅惑的ですねw

上でも書いた通りこの写真は502ですが、モデルのプロトタイプとなった1990年時点では501も同様でした。(少なくとも1993年時点では3本帯だった事が判っています。)

写真のないオハネ14改造の503はソロ部分以外は大窓が連続する華やかな姿になっています。特異な姿だったので人気者でしたw

 ちなみに、見た目はバラバラな3両ですが、3両ともHゴムは灰色でした。客室ドアは503のみ14系由来の灰色Hゴム固定窓となってます。

 

さて、模型の方ですが、Tomixの方は501~503全てを模型化してます。凄いですねw

古い「北海道仕様」のセットではトイレ窓なしアルコン帯の501が設定されてますが、Hゴムが黒になってます。惜しいw。現行の1・2号セットは3本帯でトイレ窓付となっていて、501か502を選択可能です。Hゴムはちゃんと灰色ですw。いずれもオクなどでも手頃で、比較的入手しやすいと言えるでしょう。特異な503は「混成編成セットII」に収録されていて、瞬殺モノだっただけにオクなどでは高価取引されています。なかなか入手難易度高そうです。

比較的「北斗星」には消極的なKATOからも意外にも2タイプ出ていて、旧製品では502が、「DX編成セット」で503が収録されています。Hゴムは残念ながら黒のようですw

 

以上、「ロビーカー」、「ソロ・ロビー」の紹介でした。

次回は「北斗星」のもう一つの華である「グランシャリオ」こと食堂車について書いてみたいと思います。

 

寝台特急「北斗星」の深き沼 その9

毎度ご覧いただきありがとうございます。

 

大変お待たせいたしました。「北斗星」JR北海道編成が無事入線してきましたので、運行再開です。

今回は予告通り、「ロイヤル・デュエット」です。


何度か繰り返しになりますが、「北斗星」運行開始当初、高価な「ロイヤル」は利用率がどの程度になるか見えない状態でした。そこで、JR北海道が用意したのが、二人用B寝台個室と組み合わせた「ロイヤル・デュエット」になります。

今回はこれについて、いろいろ書いていこうと思います。

 

 

第四章 ロイヤル・デュエット

 

 

 

「ロイヤル・デュエット」はJR北海道が北斗星開業に合わせて用意した、一人用特別A個室の「ロイヤル」とB寝台二人個室の「デュエット」の合造車です。

1989年に1年間の運用実績からJR東日本でも導入され、「北斗星」全列車に連結される様になりました。

「ロイヤル」についての詳細は、前回の「その8」をご覧いただくとして、今回初登場になる「デュエット」について軽く解説します。

「デュエット」はB寝台の二人用個室で、解放式B寝台と同じ値段でありながら、身内だけでプライバシーが確保できる個室となっています。前回紹介の「ソロ」の二人用版と言えばわかりやすいでしょうか。

1階席と2階席が互い違いに並ぶ中二階構造で、基本的にB寝台なので広さや設備は最低限となっています。室内は70cmの寝台2つが枕木方向に並行に配置されているほか、オーディオコンソールがあります。寝台部分は上下階座席と重なっているため天地が狭く、二つの寝台の間のみ直立できる様になっており、2階席は中央が階段となっています。

発展形として、JR西日本では中央通路としてベッドを線路方向に並べて2段とし、スペースを少し広く確保した「ツイン」などが存在しています。

 

さて、「ロイヤル・デュエット」車は以下の形式区分番台となっています。

 

・オロハネ25形550番台

・オロハネ24形550番台

 

このうち、オロハネ25形がJR北海道所属、オロハネ24形がJR東日本所属となっています。解りやすいですねw

たった2形式番台区分しかないのでシンプルかと思いきや、そう簡単に行かないのがみんな大好きJR北海道ですwwww

 

前回も書いた通り、オロハネ25形550番台は相当な食わせ者ですwwwww

それでは、個々の車両について詳しく見ていきましょう。

 

・オロハネ25形550番台(551〜554)

 

 

毎回JR東日本の車両から紹介して来ましたが、今回は歴史的経緯も含めてJR北海道車からの紹介ですw

オロハネ25形550番台は、JR北海道が1988年に、「北斗星」運転開始に備えて用意した「ロイヤル・デュエット」車です。

 

このオロハネ25形550番台、JR北海道車らしく、なかなか一筋縄で行かない混沌とした型式番台区分になっています。

前回記事を見ていただいた方には繰り返しになりますが、小タイトルに551〜554とありますが、555〜は何者かというと・・・・・「ロイヤル・ソロ」車(上写真奥側)なのですwww

JR北海道は事もあろうに、設備レイアウトの異なる「ロイヤル・デュエット」と「ロイヤル・ソロ」を同じ番台区分に押し込んで、「ロイヤル・ソロ」車を「ロイヤル・デュエット」車の続番にしてしまったのです!

これにより、鉄道ファン初心者を混乱に陥れる難解な型式番台区分になりましたww

さらに、このオロハネ25形550番台は「北斗星」の優等車両としては珍しく、

 

・運行開始に備えて1988年に製造した「ロイヤル・デュエット」(551〜553)

・3・4号定期化に備えて1989年に増備した「ロイヤル・デュエット」(554)と「ロイヤル・ソロ」(555)

・ロイヤル好評のため1・2号増結及び予備捻出用として1990年に増備した「ロイヤル・ソロ」(556〜558)

 

と3回に分けて増備が行われているのですが、3グループでそれぞれ細かな仕様が異なっているのです!

さらに、この中の「ロイヤル・デュエット」の(551〜554)の中で仕様が統一されていれば解りやすいのですが、「たった4両なのに3形態に分かれる」変態ぶりですwwww

さすが苗穂の匠、モデラーをスパルタ教育してくれますwwwww

 

室内レイアウトは、「ロイヤル・ソロ」でJR東日本が伝統的な合造車スタイルとしたのに対してJR北海道は既成概念を取り払い、「ロイヤル」を乗り心地の良い車体中央に配置した上で、前後を二人用B寝台個室の「デュエット」で挟むレイアウトにしました。乗り心地優先の合理的なスタイルと言えるでしょう。

1年間の使用実績からJR北海道方式の方がメリットが大きいことが実証されたようで、JR東日本も1989年に「ロイヤル・デュエット」を新設する際にJR北海道方式を取り入れています。

 

模型で再現するとこんな感じです。まだ内装工事を入れてないので真っ白けですが、ご参考まで。模型ではライトユニットの導光材を通すため2階席が省かれていますが、概ね雰囲気は伝わるかと思います。ロイヤルが中央に位置していますね。

 

さて、オロハネ25形550番台は上でも少し触れた通り、1988年に3両登場(551〜553)しましたが、1989年に3・4号定期化に備えて1両(554番)登場しています。その際に細かな仕様を変更しており、一番大きな所はロイヤル部分の窓がひとまわり大きくなっており、より高級感を引き立てているところです。そのほか、ロイヤル室内のシャワー室側壁面のレイアウトに微妙な変化があるようです。

 

ここで一旦、オロハネ25形550番台(〜554)の生い立ち触れてみたいと思います。

1988年に「北斗星」開業と同時に登場した3両のオロハネ25形550番台はJR北海道担当の1・2号で使用されました。1989年にモノクラスの臨時列車として運行していた3・4号をロイヤル入りの定期列車にするにあたり1両増備が行われています。見た目や細かな点は若干異なるものの大きな仕様に変化はないため、4両とも1・2号及び3・4号の北海道編成で区別なく使用される様になりました。細かくは後述しますが、これに際してJR東日本がオロハネ25形550番台を参考に、ほぼ同じ仕様のオロハネ24形550番台を登場させています。また、JR北海道でも前回書いた通り、「デュエット」部分を「ソロ」とした増備車も登場しました。

1999年の定期2往復化に伴い、定期運用は1・2号のみとなって運用に余裕がでたため、臨時列車や団体列車にも使用されたほか、JR東日本の「夢空間」の随伴も勤めました。また、2004〜2007年にはJR東日本担当の3・4号が閑散期には優等寝台車を2両ずつ連結する様になったのに伴い、「ツインDX」車や「ロイヤル・ソロ」車と共に助っ人して活躍することもありました。(所定4両使用のところをJR東日本には4両しか所有がなく予備がない状態となった為、予備車捻出のためJR東日本に貸し出されたというわけです。)

しかしながら、2008年に1往復化された時点で運用を失って廃車となり、全車がミャンマーに旅立って行きました。

 

さて、上でもちょっと触れた通り、形態的に見ると、実にモデラー泣かせな車両となっていますww

 

通路側はこんな感じです。

・・・と言いたいところですが、実はこれだけだと足りませんw

551〜553の種車はオハネ25形なのですが、JR北海道はオハネ25形をあまり持っていなかった為、554はJR北海道得意?のオハネ14形500番台からの改造ですw

いきなり続き番号なのに種車違いで形態が違うとか、まるで旧型客車並の混沌ぶりですwwww

こういう状況なので、551〜553・554ではいきなり窓配置が違います。前者はオハネ25形を踏襲した窓配置(ドア横に狭窓がある)となっているのに対し、後者は写真の様に14形500番台由来(ドア横の狭窓がない)の窓配置となっています。非常口も551〜553は完全に埋まっているのに対し、554は窓のみ残っています。

さらに、551・552はシンプルな3本帯にエンブレムという状態なのに対し、553は同じオハネ25由来ながら4本帯+縦帯の通称「アルコン帯」と若干豪華な雰囲気になってます。追加増備の554はもちろん?「アルコン帯」です。

ドアは14系改造の554のみHゴム窓、他は押さえ金具窓でHゴムがありません。

つまり、554は1両1形態の珍車というわけですねwwwww

ちなみにこの模型は554です。551〜553は仮に入手することがあれば改めてアップします。

 

 

客室側はこの通りです。

「ロイヤル・ソロ」同様、互い違いの窓の中央にロイヤルの大きな窓が見えます。デュエット部分の窓はソロより横長ですね。

模型は554なのでドアに14系由来のHゴムが見えます。エンブレムは「ロイヤル・ソロ」の555〜と同様車体中央に存在し、ロイヤルの窓の大きさがも一緒です。一方、写真はありませんが551〜553はトイレ部分にエンブレムがあり、一見して異なっています。また、ロイヤル部分の窓はこの写真よりひとまわり小さな、通路側の窓と同じ大きさのものです。(興味があればgoogle先生に教えてもらってくださいww)

例によって551・552と553は帯のパターンが違うので番号によって形態がバラバラということになります。

さらに、1997年頃からJR北海道得意?のトイレ窓閉鎖も行われているので、各車とも時代によってトイレ窓の有無が存在することになります。

いやぁ、モデラー泣かせの深い沼ですねwwww

555〜同様に表にまとめると、以下の様になります。

 

番号 種車 通路側窓配置 ロイヤル窓
551 オハネ25-0 ドア横狭窓あり・非常口跡窓なし 三本
552 オハネ25-0 ドア横狭窓あり・非常口跡窓なし 三本
553 オハネ25-0 ドア横狭窓あり・非常口跡窓なし アルコン
554 オハネ14-500 ドア横狭窓なし・非常口跡窓あり アルコン

 

555〜に比べると、551と552が同じだけマシですかねwwww

Hゴムについては1989年までの改造ということもあってか、全車とも灰色の様です。

 

模型の方はTomixが551/552をトイレ窓付きで、553をトイレ窓のない近年タイプで、554をトイレ窓付きでモデル化しています。Tomixさん凄いww

553は製品としては古いもので、安定の黒Hゴムになってますww

551・552は伝説の瞬殺セットに入っていたもので、Hゴムは灰色ですが入手は難しいかもしれません。

554は現行で売られているセットに入っており、Tomixもわざわざ「554番を製品化」としていて各部が忠実に再現されている様です。まだ市場在庫があるので、入手は楽でしょう。特定ナンバーで売られている時点ですでに沼ですねwww

一方、KATOからも開業当初の北斗星を旧製品で製品化していて、552がモデルになっています。こちらは灰色Hゴムでトイレ窓付きです。やったね!古い製品なので入手性は難ありの様です。

 

・オロハネ24形550番台

 

 

こちらは1989年の3・4号定期化及び、5・6号のロイヤル増結に合わせてJR東日本から登場したものです。

JR北海道の「ロイヤル・デュエット」を参考にしているだけあってオロハネ25形550番台とよく似ており、さしづめ「JR東日本版オロハネ25形550番台」と言った風情となっています。

基本的な設備はJR北海道の「ロイヤル・デュエット」と揃えられています。当時の3・4号が交互運行となり、両社でできるだけ仕様を揃えている為だと思われます。

「JR北海道のオロハネ25形550番台と揃えた」この車両ですが、いろんな意味で「似て非なる」車両です。

混沌の極みにあるJR北海道車に対し、JR東日本車は全車がオハネ24形からの改造車で、全部で4両(551〜554)存在しますが、全て仕様が揃っています

いやぁ、全く対照的でモデラーに優しいですねwww

 

室内はこんな感じです。
模型的にはJR北海道車と金型が同じな様です。

基本的に「北海道車の色違い」ですが、ロイヤルは木目調で、オロネ25形500番台と同様かなり重厚感があります。

 

他方、デュエットは本当にモケットの色が異なるだけと言った雰囲気です。2階席は室内に階段があるのが判るかと思います。

本来であれば階段の両脇にベッドがあるのですが、純正品の室内灯ユニットの都合で省略されてます。いずれ自作室内灯にする予定なので、2階席も作り込んでみましょうかねw

 

通路側の室内は配置が基本的に同じにもかかわらず、カラースキームが違うだけでだいぶイメージが異なります。

JR東日本はオリエント急行などを思わせる木目調で、どこか欧風客車を思わせる趣となっています。この辺りは両社の考え方の違いが出ていて面白いところですね。余談ですが、個室の扉の鍵はJR北海道がシリンダー錠なのに対して、JR東日本はカードキーとなっています。こんなところも似て非なるものになっていて面白いところです。

 

オロハネ24形550番台の生い立ちは、1989年にJR東日本の「北斗星」に追加投入された形で登場。一気に4両増備され、5・6号と3・4号のJR東日本編成で活躍しました。1999年の2往復化後は3・4号及び臨時列車・団臨などで活躍、「夢空間」にも連結されました。閑散期には1編成に2両連結され、ゴージャスさアップに貢献していました。

JR北海道車とは対照的に1往復化後も活躍をつづけ、2015年の臨時化後は再び2両使用されました。その後「北斗星」終焉と共に廃車となっています。幸い全車解体は逃れていて、551がヒロサワレールパークに保存されて現在もその姿を見ることができます。

 

さて、上にも書いた通り、形態的には個体差がほとんどなく、実質同じと思って良さそうです。

 

通路側はこんな感じです。24系24形準拠・・・と思いきや、ドア横の狭窓が「北斗星」向けのオハネ24形では埋められているのに対し、こちらは若干客室寄りに移設されて存在しています。

また、非常口は完全に埋められています。これは、洗面所側の仕切り扉が、通路に並行に設置されている開戸から、通路と直交する引き戸の自動ドアに変更されたことも影響していそうです。

以上から、オロハネ25 551〜554のどれとも異なる窓配置になっています。

 

客室側はこんな感じです。同社の「ロイヤル・ソロ」オロハネ25形500番台より若干小さい「ロイヤル」の窓と言い、デュエットでロイヤルを挟んだ配置といい、上に載せたオロハネ25 554とそっくりであることがわかります。しかしながら、ドア窓にはHゴムがなく、帯は東日本特有の4本帯でエンブレムはありません。また、オロハネ25形550番台と大きく違うのが2階部分の屋根の端の処理で、

 

JR北海道車は雨樋が垂直に落ちてますが、
 
こちらは斜めになっています。
 

こんなところも、JR北海道車と「似て非なる」ものですねw

 

模型の方は、TomixのJR東日本仕様編成セットには大抵含まれています。入手難易度はかなり低く、バラシ品も安価です。KATOの方もDX編成セットに含まれています。各製品とも黒Hゴムですが、実車が全て黒Hゴムなので安心ですww

 

今回はとりあえずここまで。

いやぁ、今回もディープでしたね。JR北海道、恐るべしですww

 

次回は「北斗星」の寝台車群に華を添える「ロビーカー/ソロ・ロビー」について書いてみようと思います。

 

寝台特急「北斗星」の深き沼 その8

毎度ご覧いただきありがとうございます。

 

だんだん「北斗星」客車の沼の中でも深い領域に入ってきました。

いやぁ、書いていて楽しいですねwww

 

今回は分割民営化後に初登場した北斗星の華、「ロイヤル」と「ソロ」が登場します。

「北斗星」を豪華寝台特急としてのステータスを与えた「ロイヤル」は、分割民営化後に登場した特別な一人用個室です。

鳴り物入りで登場した「ロイヤル」は「北斗星」運行開始当時、JRとしてはこのような設備は初めての試みであり、高額であるため実際に売れるかどうか不明な状態でした。(ショールーム位に考えていたそうです。)

そこで、1両丸々「ロイヤル」とするのではなく、やはり初の試みとなるB寝台個室の「ソロ」や「デュエット」と組み合わせた車両として誕生しています。「ソロ」や「デュエット」にしても初の試みであり、それぞれ半室とする事でベンチマークを行ったという事でしょう。

今回はそのうち、JR東日本が最初に登場させた、「ソロ」との合造車、「ロイヤル・ソロ」について書いていきたいと思います。

 

第三章 ロイヤル・ソロ

 

 

 

「ロイヤル・ソロ」はA寝台扱いの特別な一人用個室と、B寝台扱いの安価な一人用個室を組み合わせた車両の愛称です。

上でも書いた通り、「ロイヤル」は国内史上初めての設備で、一人用個室ながらビジネスホテル並の設備を誇っていました。

その内容は

  • 寝台幅800mmの広いベッド(エキストラベッドを使って二人使用も可能)
  • ベッドとは別な大きなソファー付き
  • 奥行きのあるミニテーブル付き
  • ビデオ視聴のできるAV設備を装備。
  • 目覚まし付きの音楽視聴コンソールを装備。
  • 食堂・ラウンジへの専用インターフォンあり。食事のデリバリーサービスもできます。
  • ウェルカムドリンクのサービス
  • 専用のシャワールーム兼トイレ・洗面所も室内に装備。

となっていました。その分料金は通常のA寝台より高めに設定されていて、ほとんど空室になることも予想されていたようですが、蓋を開けてみれば大好評で、常に予約の取りにくいプラチナチケットとなっていました。

 

一方、「ソロ」は通常のB寝台と同じ料金で利用可能なB寝台の個室で、これも国内史上初めてのB寝台一人用個室となりました。

設備としては、音楽が視聴できるコンソールを備えているものの、ベッドの幅は通常のB寝台と同じ700mm。部屋の幅は1200mm程度で狭く、二階建て構造となっている事から天井も低くなっており、サイズはカプセルホテル並となっています。それでも、安価にプライベートな空間を保てる事から、一般の解放式寝台と比べれば居住性は上と見られ、人気の設備となっていました。

「ソロ」については好評かつ手軽だった事からか他の列車にも波及し、様々なスタイルの「ソロ」を連結する列車が増えましたが、「ロイヤル」については自身や追って登場する「夢空間」の使用実績から、二人用の「ツイン」や「スイート」といった方面へ進化していく事になります。

 

さて、上でも軽く書いたとおり、「ロイヤル・ソロ」はJR東日本が最初に登場させたもので、追ってJR北海道からも登場して以下の形式・番台が存在します。

 

・オロハネ25形500番台

・オロハネ24形500番台

・オロハネ25形550番台

 

このうち、オロハネ25形550番台のみJR北海道所属、他はJR東日本所属となっています。

以降、これらについて、詳細を書いていこうと思います。

 

・オロハネ25形500番台

 

 

1988年に「北斗星」の運行開始に合わせて、JR東日本から登場した車両です。

オハネ25形の改造車で501〜503の3両が存在し、「北斗星」運行開始から終焉まで、看板車両として活躍しました。

1999年までは主に5・6号と東日本担当の3・4号で活躍。2往復化後は3・4号で活躍しました。他の優等車同様、2004〜2007年の閑散期には2両連結されることもありました。また、「夢空間」連結列車にも少ないながらも連結実績があり、豪華寝台列車に華を添えていました。定期列車終了後の臨時化後も2両連結体勢となり、「ロイヤル・ソロ」は本型式番台のみ使用されていました。502,503「北斗星」運行終了後に廃車となっていますが、501だけは保留車として車籍が残っており、尾久の車庫の片隅で今も眠りについています。

 

オロハネ25形500番台の設備レイアウトですが、前位側(デッキ側)にロイヤルが2室、後位側(洗面所側)にソロが12室存在します。前後でクラスの分かれるところは、国鉄時代からの伝統的な合造車スタイルを継承したと言えそうです。

 

 

 

内装はこんな感じです。

ロイヤルは木目調の壁で、ビジネスホテルを思わせるような内装です。模型では再現されていませんが、空白の部分にシャワー室が存在しています。

 

 

 

ソロは完全二階建て構造で、二階席は外側の階段を使って部屋に入る形になっています。

模型ではライトユニットのプリズムを通すため2階席の表現が省略されていますが、狭い室内である事がなんとなくお判りいただけるかと思います。

国鉄時代からの伝統を感じさせつつ新機軸に挑戦したJR東日本の意欲作ですが、「ロイヤル」が台車に近い車端部にある事で、揺れや騒音面で不利になる事や、完全二階建ての「ソロ」は天井が低くて完全に直立できないなど、その狭さから他の「ロイヤル・ソロ」と比べて居住性は一歩劣っていたようです。

余談ですが、自分としては居住性はともかく、見た目はこちらの方が好きですww

 

形態的には、例に漏れず、客室側と通路側で大きく異なります。

 

 

 

通路側はこんな感じ。パッと見はオハネ25形と変わらない大人しいスタイルですが、窓越しに見える木目の仕切りが欧風のコンパートメント車らしい風情を醸し出しています。ソロの部分は小窓と一階席の扉が見えますが、カプセルホテルのような背の低い扉が特徴的です。

また、外階段方式のため、2階席に上がるための階段も確認できます。なお、通路にはロイヤル部分とソロ部分を区切る手動式の開戸が存在しています。この辺りも国鉄時代からの伝統を感じさせるものです。非常口は完全に埋められ、その痕跡も残っていません。

 

 

客室側はこのように、非常に独特な姿となっています。特にロイヤルの大きな窓と、ソロの小さな窓のコントラストが目を引きます。「北斗星」のロイヤルというと、この車両を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。ロイヤルの窓の大きさはこのオロネ25形500番台が最大となっていて、フラグシップにふさわしい貫禄を醸し出しています。、トイレは一箇所となったため窓は一つとなっています。

1988年改造という事もあってか、意外にもHゴムは全車とも灰色でのままでした。また、オロハネ25形500番台は個体差がほとんどなく、モデラーに優しい車両となっていましたw

 

模型の方ですが、看板車両だけあってTomixの東日本仕様セットには大抵含まれていますが、最後の製品の発売からやや月日が経っており、若干入手しにくくなっているようです。古い製品ではなぜかHゴムが黒でしたが、近年の製品では灰色に修正されて実車に近い形となりました。KATOからはDX編成セットに含まれており、こちらは何度か再生産しているので比較的入手は容易なようです。Hゴムは安定の黒ですw気になる人は修正しましょうww

 

・オロハネ25形550番台(555〜)

 

 

1989年の定期列車3往復化に対応して、「北斗星」3・4号用としてJR北海道が登場させた「ロイヤル・ソロ」車です。

24系25形を名乗っていますが、JR北海道得意?のオハネ14形500番台からの改造車で、所々に種車の面影が残っています。

 

さて、このオロハネ25形550番台、JR北海道車らしく、なかなか一筋縄で行かない混沌とした型式番台区分になっていますww

まず、小タイトルに555〜とありますが、551〜554は何者かというと・・・・・「ロイヤル・デュエット」車なのですwww

JR北海道は事もあろうに、設備レイアウトの異なる「ロイヤル・デュエット」と「ロイヤル・ソロ」を同じ番台区分に押し込んで、「ロイヤル・ソロ」車を「ロイヤル・デュエット」車の続番にしてしまったのです!

これにより、鉄道ファン初心者を混乱に陥れる難解な型式番台区分になりましたww

さらに、このオロハネ25形550番台は「北斗星」の優等車両としては珍しく、

 

・運行開始に備えて1988年に製造した「ロイヤル・デュエット」(551〜553)

・3・4号定期化に備えて1989年に増備した「ロイヤル・デュエット」(554)と「ロイヤル・ソロ」(555)

・ロイヤル好評のため1・2号増結及び予備捻出用として1990年に増備した「ロイヤル・ソロ」(556〜558)

 

と3回に分けて増備が行われているのですが、3グループでそれぞれ細かな仕様が異なっているのです!

これで難解さがさらにアップです。いやぁ、モデラー泣かせですねwwww

さらに・・・「ロイヤル・ソロ」の(555〜558)については全車が細かな所で差異があり、全く同じ形態の車両が存在しないというカオスぶりですww

 

さて、JR北海道の「ロイヤル・ソロ」について書くまえにちょっとだけ「ロイヤル・デュエット」車について触れておきます。

1988年の「北斗星」運行開始に備え、JR北海道が用意した「ロイヤル」は「デュエット」と組み合わせになりました。JR東日本が伝統的な合造車スタイルとしたのに対してJR北海道は既成概念を取り払い、「ロイヤル」を乗り心地の良い車体中央に配置した上で、前後を二人用B寝台個室の「デュエット」で挟むレイアウトにしました。乗り心地優先の合理的なスタイルと言えるでしょう。

1年間の使用実績からJR北海道方式の方がメリットが大きいことが実証されたようで、JR東日本も1989年に「ロイヤル・デュエット」を新設する際にJR北海道方式を取り入れています。

 

というところで、「ロイヤル・デュエット」ついては別途詳しく書くとして、「ロイヤル・ソロ」の話に戻ります。

JR北海道の「ロイヤル・ソロ」の室内レイアウトは「ロイヤル・デュエット」車の「デュエット」部分を「ソロ」にアレンジしたもので、「ロイヤル」を車体中央に配置した上で、同車の「ソロ・ロビー」車に倣った上下の部屋を互い違いに配置する中2階構造としています。このため、二階席は個室内に階段を持ち、一階席も直立できるスペースが確保できるようになっており、JR東日本のオロハネ25形500番台より居住性は良いものとなっています。その代わり、1室(特に2階席)のスペースが広がった分だけ定員は減っており、JR東日本のオロハネ25形500番台の「ソロ」が12室あるのに対して、こちらは10室になっています。

 

 

 

模型で再現するとこんな感じです。模型ではライトユニットの導光材を通すため2階席が省かれていますが、概ね雰囲気は伝わるかと思います。ロイヤルが中央に位置していますね。

 

さて、オロハネ24形550番台は上でも少し触れた通り、1989年に3・4号定期化に備えて1両(555番)登場しています。その後、1990年に1・2号にロイヤルを増結するために3両(556〜558)増備を行いましたが、その際に細かな仕様を変更しており、一番大きな所では、ロイヤルの室内天井に蛍光塗料を仕様したステラリウムをあしらい、より旅を楽しめるよう工夫が凝らされています。そのほか、ロイヤル室内のシャワー室側壁面のレイアウトに微妙な変化があるようです。

 

ここで一旦、このグループの生い立ちに触れましょう。

何度かの繰り返しになりますが、1989年に「北斗星」3・4号でデビューしたJR北海道の「ロイヤル・ソロ」は好評につきJR北海道担当である「北斗星」1・2号にも1990年に増結という形で登場します。増備車はステラリウム付きとなりましたが、特に区別されることなく使用されています。

1999年に2往復化した後は1・2号及び臨時列車に使用されましたが、2004〜2007年の閑散期には東日本車で組成される3・4号が優等寝台車を2組使う編成となった事から、不足の際の応援運用で3号車に連結されたこともある様です。

しかし、2008年の1往復化により、他のJR北海道車の優等寝台車と共に運用を失い廃車となり、全車ともミャンマーに旅立って行きました。

 

形態的には、555〜558まで全て細かな差異が生まれるている上に、1997年頃にトイレ窓閉塞工事を受けていて、時代によっても変化があるというモデラー(模型メーカー)泣かせなことになっていますwww

 

 

通路側の外観はこんな感じ。例によって大人しいオハネ14スタイルです。黒Hゴムなのでちょっと判りにくいですが、オハネ14形500番台由来のドアにはHゴムがあります。通称「アルコン帯」とエンブレムが誇らしげです。

さて、このエンブレムの位置が曲者で、556が右寄り、555・557・558が左寄りとなっています。

 

 

模型はこれだけ見ると556が良さそう・・・なのですが・・・・。

 

 

 

客室側です。中央にロイヤルの大窓、前後にソロの小窓が上下互い違いに並んでいます。なかなかみていて面白いですねw

「北斗星」のロイヤル入り客車の中では多数派のレイアウトになりますが、従来の国鉄客車の流儀からすると、この配置は斬新なものでした。中央は給湯設備がありますが、その部分にエンブレムが誇らしげに乗っています。

さて・・・このエンブレムの位置がまた曲者でして・・・。

 

 

実車では555・557・558が給湯室のルーバーよりちょっと右寄り、556が中央に位置しています。模型は右にズレているので、これを見ると少なくとも556は除外となりますね。

 

 

客室側は二階部分の窓が高い位置にあるため、側板が屋根が張り出していますが、555だけ張り出し部分の右端がクーラーとほぼ密接しているという特徴があります。模型は若干スペースがあるので、556〜558のスタイルで、555が除外となります。

通路側とも総合した結果・・・・・この模型ははどれにも該当しないという事になりますwww

まぁ、模型メーカーにそこまで求めるのは酷というもの・・・というか、556〜558のどれにしてもいいように敢えてこのようにしたという可能性もありますね。

なお、557・558はエンブレムの位置がほぼ同じなのですが、トイレ部分にある点検蓋の位置が558の方が若干ズレているそうです。

※6/16補足:ようやく明確に確認できる写真を見つけることができました。確かに558の方が若干デッキ寄りにズレています。また、1997年頃に行われたトイレ窓閉鎖・点検蓋更新工事までは557と同じだった可能性があります。

 

というわけでこれをまとめてみると

 

番号 通路側エンブレム位置 客室側エンブレム位置 屋根張り出し 点検蓋位置
555 通常
556 中央 通常
557 通常
558 ズレ

 

というわけで、4者4様であることが判ります。Hゴムは基本的に黒ですが、555など方向幕だけ灰色の物もある様です。

いやぁ・・・本当に深い沼ですね・・・・・。

ちなみに、「ロイヤル・デュエット」の551〜554もこれに負けず劣らずの混沌ぶりですので、後日の記事をお待ちくださいww

 

模型はTomixの「北海道仕様」編成に含まれており、初期のトイレ窓付き、晩年のトイレ窓なし共に発売されています。

どれも特定番号に依存しない姿となっている様ですね。(現行製品は90年頃をモデル化しているためトイレ窓付き)トイレ窓の有無を気にしなければ入手は比較的容易な様です。KATOからはモデル化されていません。

 

・オロハネ24形500番台

1989年の定期列車3往復化に対応して、「北斗星」3・4号用の予備車としてJR東日本が増備した「ロイヤル・ソロ」車です。最低限の1両のみの登場で、1両1型式区分番台のレア車両となりました。

さて、この車両、一見JR東日本らしい大人しい車両だと思わせつつ・・・・・実はとんでもない食わせ者ですww

24系24形を名乗っていますが、改造種車はなんと14系座席車!。オハ14 186からの改造ですが・・・・・・面影は全くありませんwww

 

室内レイアウトは同社のオロハネ25形500番台と異なり、JR北海道のオロハネ25形550番台の「ロイヤル・ソロ」と揃えられています。結果的に居住性は改善されましたが、定員がオロハネ25形500番台より少なくなるため、共通運用にはできなくなりました。

こうなった背景として、当時の3・4号はJR北海道と交互に受け持つことになったため、両社でなるべく仕様の統一を図ったのではないかと思います。

ロイヤル室内のレイアウトもJR北海道車と似たものになりましたが、室内の全体的な意匠はオロハネ25形500番台と揃えられ、木目調の廊下や各個室内の配色はJR東日本独特のものです。余談ですが、オロハネ25形500番台の「ロイヤル」はテーブルやコンソール等のレイアウトが異なっていましたが、逆にこちらに合わせた改装を受けています。

ちなみに、同時に増備された「ロイヤル・デュエット」車のオロハネ24形550番台についても、「デュエット」と「ソロ」の違いはあれど、大まかな仕様が統一されたものとなっています。

 

さて、1989年に登場したオロハネ24 501ですが、前述のとおりオロハネ25形500番台と定員・設備が異なっているため専ら3・4号のJR東日本編成用となっており、主にJR東日本が担当していた5・6号にはほぼ使用されなかったと思われます。2往復化後は予備車となり、「北斗星」運用に入ることは稀で、主に団臨や「夢空間」のお供として活躍していました。(逆に、「夢空間」がJR東日本の編成で組成される際には、この車を使っていた記録が多数残っています。)

2008年に1往復化し「夢空間」が引退するとますます運用に入ることは少なくなり、尾久の車庫で眠っていることが多くなりました。それでも、検査でオロハネ25形500番台が不足したり、トラブル時のイレギュラー編成(悪天候や事故などで上り北斗星が折り返し運用に間に合わなくなり、予備車をかき集めて組成された編成)が組まれたときなどで時折姿を見せていました。2015年に定期列車の運行が終了して臨時化された後は一度も登板されることがなく、黒磯での訓練に使われた程度で「北斗星」の終焉を迎え、そのまま廃車となりました。

 

形態的には、室内レイアウトの大きな変更に伴い、客室側は上で紹介したJR北海道のオロハネ25形550番台と類似のものとなっています。残念ながら実車の写真も模型も持ち合わせていないので、入手後に改めてアップしたいと思いますが、客室側の外観は上で紹介したオロハネ25形550番台の帯を、JR東日本のロイヤル車標準の4本金帯にしたようなもの・・・だと思ってくださいw(頭でアレコレ想像するより、多分google先生に聞いた方が早いですねw)

一方、通路側の外観については、ちょうど同時期に24系24形改造の「ロイヤル・デュエット」車、オロハネ24形550番台をとよく似ています。仕様を合わせたのかもしれませんね。参考までにオロハネ24形550番台の画像を貼っておきます。

 

 

14系からの改造ですが、ドア窓は他のJR東日本の「北斗星」24系と同じ押さえ金具固定となっていて、Hゴムのないスッキリしたスタイルです。元々座席車で車体をほぼ新製しているので、当然ながら非常口跡は最初から存在していません。Hゴムは安定の黒色で模型メーカーも安心ですw

さて、模型ですがこんなレア車にもかかわらずTomixが「混成編成セットII」で模型化しています。しかしながら、このセットは比較的売れ行きが早かった様で、オクでも高額取引されていて入手難易度は高いと言えます。幸い、今夏発売されるセットに再録されるので、入手しやすくなると思われます。自分も購入予定ですので、入手した際には画像を上げたいと思います。KATOからはもちろんモデル化されていませんww

 

今回はこれにて終了です。

いやぁ、かなり長文になってしまいましたww

 

 

 

 

次回は「ロイヤル・デュエット」の予定ですが、「北斗星1・2号セット」の基本セットが間もなく入線して来そうなので、少しお時間をいただく事になると思います。

 

「北斗星」を増備する間に入線した車両がいくらかあるので、気が向いたら間にそちらの車両の記事を投稿するかもしれませんww

 

寝台特急「北斗星」の深き沼 その7

毎度ご覧いただきありがとうございます。

 

前回のB寝台編は何気に形式が多く、形式全体で共通の話、会社別で共通の話などがあり、綺麗にまとめるのが難しくなかなか難産でした。

いやぁ、文章って難しいですねw

しかも、調べれば調べるほど判る新たな真実・・・。「北斗星」の沼は深い・・・・w

 

さて、今回から「北斗星」の華である優等寝台車の登場です。

 

第二章 ツインDX

 

「ツインDX」とは、二人用の個室A寝台の愛称名です。

二人用の区分室を持った優等寝台は意外と歴史が古く、戦前の木造客車時代から、20系寝台車まで存在します。国鉄が合理化至上主義になっていた時代の14系や24系では一度途絶えたものの、改造車ながらこの「北斗星」で復活したことになります。

ただし、20系までの時代は二人用区分室はバラ売りで、いわゆる「相部屋」になることも多々ありました。「ツインDX」は基本的に部屋売りであり、その点が大きく異なります。

そのため、本ブログではその点を区別するため、部屋売りの区分室を「個室」、ばら売りは「区分室」と記述しています。

さて、「ツインDX」は紛れもなく「二人用個室」です。実は「北斗星用」でありながらも登場は国鉄時代で、分割民営化にむけて青函トンネル開通後に運転する予定だった「北海道連絡特急用」として用意した設備だったりします。

車両落成後は暫定的に「ゆうづる」で使用され、「北斗星」誕生により晴れて本来の目的である「北海道連絡特急」に使われることになりました。

その後「北斗星」好評のため定期3往復体勢となるにあたり、JR北海道・東日本それぞれで増備車が誕生しています。

 

「ツインDX」に使用される車両は以下の通りです。

・オロネ25形500番台

・オロネ24形500番台

・オロネ25形550番台

 

このうち、オロネ25形500番台は国鉄時代に登場した車両、それ以外がJR化後に誕生したものとなっています。

それでは、それぞれの車両について詳しく書いていきましょう。

 

・オロネ25形500番台

上に書いた通り、国鉄末期にオハネ25形を改造して誕生した車両です。

見た目は一見オハネ25形とあまり変わっていませんが、寝台側は上段用の小窓が新設されているところがB寝台時代と異なっています。

 

こちらが通路側です。パッと見はオハネ25そのものですが、室内に個室用の仕切りがあり、扉と窓がズラリと並んでいるのが判ります。

 

こちらは寝台側です。やはり見た目は普通のオハネ25とよく似ていますが、窓の上に小窓があるのが判ります。模型は100番台改造車なので窓が小さいですが、0番台改造で窓が大きいものも存在します。

 

 
室内はオハネ25形の寝台区画1つを二人用個室に改めたもので、単純にB寝台の倍のスペースを占有できる、ゆとりのある設備となりました。

寝台は赤系統のモケットが貼られたゴージャスな雰囲気の2段寝台で、下段はクッションを跳ね上げることでソファーとして使用可能です。

(写真の模型では上段は省略されています。また、ソファー状態が再現されています。)

小さなテーブルやロッカー、オーディオ設備にビデオが視聴できるテレビモニターも付いていますが、戦前以来優等区分室寝台についていた洗面台はついていません。通路側にもカーテン付きの小窓がついており、通路を通して外を見ることも可能です。

 

デッキ寄りにある元二人用の寝台区画は機器室となり、外から見ると常にブラインドが下げられた状態になっています。

 

 

さて、オハネ25形500番台は全部で6両で501〜503がJR北海道、504〜506がJR東日本に引き継がれました。兄弟とも言えるこれらの車両ですが、所属会社によって別々の運命と辿っています。

 

・JR東日本

JR東日本に引き継がれた504〜506は「北斗星」運行開始前は「ゆうづる」で、運行開始直後は5・6号に使用され、3往復化後は3・4号の東日本担当編成と5・6号で活躍しました。1999ねんの2往復化後の3・4号、2008年の1往復化も引き続き使用された他、「夢空間」と組んで走る姿も比較的多くみられました。2004〜2007年の閑散期には編成中2両連結されたこともあります。

2015年の定期列車終了後、臨時列車となってからも2両連結で活躍し、「北斗星」運行終了まで活躍しました。運行終了後は種車からを含めた車齢が高いこともあり、全車廃車となっています。

 

形態的には全てオハネ25形100番台改造車で、客室側の窓が小さいタイプです。運行終了までほぼ変化はなく、非常口跡の形態は各車とも水切りなしとなっています。Hゴムの色は506のみ方向幕が黒になっているようです。

 

模型はTomixの「JR東日本仕様」各セットや「夢空間」セットには大抵含まれていて、比較的入手は容易です。古い製品ではHゴムが黒でしたが、最近の製品では灰色に改められているようで、実車に近くなりました。KATOは1往復化後をプロトタイプにしたDX編成セットに含まれています。505のナンバーが付いていますが、例に漏れずHゴムは黒色ですw

 

・JR北海道

JR北海道に引き継がれた501〜503は、「北斗星」運行開始前はJR東日本に貸し出す形で「ゆうづる」に運用され、「北斗星」運行開始直後は1・2号。3往復化後は1・2号と3・4号の北海道担当編成で活躍しました。1999年の定期2往復化後も引き続き活躍しますが、「夢空間」と連結したり、2004〜2007年には閑散期にJR東日本に貸し出されて、東日本編成に組み込まれた事もあるようです。ところが、2008年の1往復化により運用を失い、車齢も高いことから廃車となりました。解体はされず、ミャンマーへ旅立ったようです。

 

形態的には、501のみオハネ25形100番台改造車、502,503は0番台改造車となっていて、客室側窓の大きさが異なっています。それ以外は国鉄時代の改造という事もあってか、帯や非常口跡などは東日本車と形態に違いはありません。Hゴムは全車とも灰色だったようです。

ただ、トイレ窓についてはJR東日本車と大きな差があり、JR東日本車が廃車までトイレ窓はそのままだったのに対して、JR北海道車は詳細時期不明ですが、少なくとも2001年までには埋められている事が判明しています。

 

模型の方は、一応大窓、小窓タイプ共にTomixからモデル化されています。大窓タイプは瞬殺アイテムだった「3・4号北海道仕様セット」に含まれており、バカみたいな高値でオクに出品されているのを見かけます。入手難易度は高いと言って良いでしょう。小窓タイプは古い製品の「北海道仕様セット」に含まれていました。こちらも少し入手は難しいみたいです。意外ですが、KATOからも大窓車が旧製品でモデル化されています。1988年の運行開始当初の仕様でHゴムも灰色ですw

 

・オロネ24形500番台

オロネ24形500番台は1989年の定期列車3往復化に伴って増備されたJR東日本の「ツインDX」の増備車です。1両のみの存在で、地味な外観ながら「知る人ぞ知るレア車両」となっていました。

形式が示す通り、他の「ツインDX」車と改造種車が異なっており、オハネ24形からの改造車です。正真正銘24系24形というわけですねw

室内等の仕様は基本的にオロネ25形500番台と揃えられたため、運用は他のツインDX車と共通で、完全に混用されていたようです。

運行開始直後は3・4号の東日本編成及び5・6号で活躍、2往復化後も3・4号で活躍しました。また、「夢空間北斗星」やその他団臨での使用実績もみられます。1往復化後及び臨時化後も引き続き使用され、「北斗星」終焉まで活躍しました。「北斗星」運行終了後は他のツインDX車共々、廃車・解体されています。

 

上にも書いた通り、客室内はオロネ25形500番台と揃えられており、2段ベットやロッカー、ソファー、ミニテーブルにAV機器など、基本的に設備は同じです。

 

形態的にはオハネ24形改造であるため、客室側の窓は大きく、JR北海道にいたオロネ25 502,503に似ていますが、元乗務員室・更衣室部分は窓が埋められており、この点において外観が異なっています。また、通路側については、非常口だった部分が窓も含めて完全に埋まっているのがオロネ25形500番台と異なっています。HゴムについてはJR化後の改造とあってか黒となっており、模型メーカーの期待を裏切らない姿となっていますw

 

さて、模型の方はレア車だけあってどこからも製品化されていませんでしたが、Tomixから今年8月発売予定の「東日本仕様セット」で初登場となります。地味な車両ながら、よく見るとちょっと違う、編成に入っていると思わず「ニヤり」としてしまう事間違い無いでしょうww

自分も購入予定ですので、入手した際にはアップしようと思いますw

 

・オロネ25形550番台

オロネ25形550番台は1989年の定期列車3往復化に伴って増備されたJR北海道の「ツインDX」の増備車です。24系25形を名乗ってはいますが、JR北海道得意?のオハネ14形からの改造です。1両のみの存在ですが、「苗穂工場の匠」により生み出されたその破天荒な外観から、存在感の大きい珍車となっていましたww

 

登場は3往復化から少しタイムラグのある1990年からで、室内はこれまでの運用実績からJR北海道独自の工夫がもたらされ、他のツインDX車と大きく異なる事から「ニューツインDX」などとも称されていました。また、運用も東日本と共通になることがない、1・2号専属となっており、定員だけは他のツインDX車と揃っていることと、1両だけのため検査時を除いてオロネ25形500番台と交互に運用されていました。このため、団臨での使用や「夢空間」との連結実績は確認できていません。(おそらく無かったと思われます。)

かなり特殊な車両となっていた事から、JR北海道担当の優等寝台車が運用を失う2008年の1往復化により余剰となり、廃車後ミャンマーに旅立って行ったのでした。

 

さて、肝心の室内ですが、こんな感じでした。

 
 

B寝台個室の「デュエット」を大型化したような一階と二階が交互配置された内容になっており、寝台は他の「ツインDX」が2段寝台となっているのに対し、中二階建ての並行配置となっています。二階席は室内中央に階段があるスタイルとなってます。ツインDXとしては唯一、室内に洗面台が設けられており、他よりグレードが上がっています。ただし、構造上ベッド部分は天井が低くなっているので、乗り心地の評価は分かれたようです。AVコンソールやビデオモニターがあるのは他のツインDX車と同じですが、その位置は独特のものでした。

 

形態的にも非常に特徴があります。

 

 

こちらは通路側です。一見大人しそうな「北斗星色のオハネ14形500番台」に見えます。非常口部分は窓も含めて埋められています。この辺りは他の「北斗星」の14系改造車と共通した部分です。Hゴム付きのドア窓も14系500番台由来のものです。しかしながら、特別感を漂わせる「アルコン帯」(JR北海道のジョイフルトレインである「アルファ・コンチネンタル・エクスプレス」を端緒とする、細い4本の横帯と縦の帯の入った金帯)やドア横にある「北斗星エンブレム」が誇らしげです。

 

そして問題の客室側です。中二階構造で1階席と2階席があるため、「デュエット」の親分のような独特の交互配置・・・で済んでないですねw

2階席は狭窓が二つ並ぶ構造に対し、一階席はオハネ25形100番台もびっくりの平たい窓に加え、部屋中央の高天井部分にはご丁寧に天窓が付いています。これだけ珍妙な窓配置の客車は、同じJR北海道の「はまなす」用のカーペット車以外みたことがありませんww

ちなみに、最初にこれをみたときは「なんじゃこりゃ!?」でしたw小さい窓がツラツラ付いているのでソロやデュエットの類かと思ったら、調べてみたらA寝台で2度ビックリでしたw

トイレ窓は完全に埋められています。これはJR北海道の「北斗星」車両の一部にみられる特徴で、JR東日本車は基本的にトイレ窓は存在しています。

Hゴムは分割民営化後の改造にもかかわらず灰色のままです。同期に改造された「ロイヤル・ソロ」車は黒ゴムなので謎ですね。

 

さて、模型の方はあまりのキワモノぶりに長年モデル化されていませんでしたが、去年冬にようやくTomixから製品化されました。「Tomixさん。よくぞ作ってくれた!」という感じですww

流石に1両だけの珍車だけあって、よく調べられていて破綻がありません。最近のTomixさんらしい秀作と言えるでしょう。

見ての通り、まだ入線整備が追いついておらず真っ新な状態ですが、入線整備を行った際には改めて紹介したいと思います。

 

区切りも良いので今回はここまで。

今回は快調に筆が進みましたwwww

 

次回は「ロイヤル・ソロ」車について書いてみようと思います。

 

 

寝台特急「北斗星」の深き沼 その6

毎度ご覧いただきありがとうございます。

 
一時期の嘘みたいなアクセス数はなりを潜めて落ち着きましたwww
 
今回からいよいよ、実車解説編に入ります。
 
「北斗星」に使われた客車たちの深ぁ~い沼について書いていければと思いますw
 

 
 
第三部 「北斗星」の名優たち
 
第一章 B寝台車(Bコンパートメント)
 
豪華寝台列車と言われる「北斗星」ですが、その中でも庶民の味方となるのが、昔ながらの解放式B寝台車です。
基本的には国鉄時代からの伝統的な二段寝台で、寝台幅は70cmです。
車内のレイアウトも基本的に変わっていませんが、トイレがバリアフリー対応となっている車両も一部存在します。
ここまではあくまで普通のB寝台車に見えますが、「北斗星」用として整備された車両には一般の24系B寝台車とは異なる特徴も持っています。
 
・「あさかぜ・出雲」用同様、内装をグレードアップしたことを示す、外装の金帯化
・北海道を走行するため、酷寒地対策(客用扉の引き戸化)
 
 
 
上2つの写真を比較していただくと判りますが、上は「あけぼの」用のオハネフ24形、下は「北斗星」用のオハネフ25形です。
通常の24系客車の帯は、白(24形)または銀(25形)ですが、「北斗星」用は金帯となっています。また、「あけぼの」用はオリジナルの折戸ですが、「北斗星」用は引戸になってます。
(余談ですが、「あけぼの」も秋田~青森の酷寒地を走行するため冬季に雪でドア故障を起こすことが時折あり、改造車を中心に一部引戸化されています。また、白帯、銀帯のまま室内更新時に改良されているものもあり、金帯のみが内装改良車ということではなくなりました。)
 
・室内の更新(ベッド・カーテンの暖色化、寝台灯の更新)
 
以上が「北斗星」客車の共通の特徴となります。
金帯で引き戸になった以外は大きな特徴はないように見えますが、そこは「北斗星」客車。所属会社毎の細かな差違や、一筋縄ではいかない車両が存在していますw
 
さて、「北斗星」の解放式B寝台車には以下の形式・番台が使われていました。
 
中間車
・オハネ25形0番台
・オハネ25形100番台
・オハネ24形0番台
・オハネ24形500番台
緩急車
・オハネフ25形0番台
・オハネフ25形200番台
・オハネフ24形0番台
・オハネフ24形500番台
 
なかなか盛り沢山ですねwww
これだけでも「北斗星」客車の深淵の深さを感じることが出来そうです。
さらに、これに加えて所属会社ごとの差異も存在するため、なかなか賑やかなことになっています。
 
まずは、各形式の概要と両社共通の特徴について記述し、そのあとで所属会社毎の特徴について書いていきたいと思います。
 
・オハネ25形0番台
24系25形の基礎形式で、昭和48年登場の国鉄から引き継がれた車両で、「北斗星」には比較的多く存在しました。寝台側の窓サイズが通路側と同じなのが特徴です。
 
 
こちらが通路側です。多くの人には慣れ親しんだ「日本の寝台車」とも言えるおなじみのスタイルですねw
 
 
 
こちらが寝台側です。通路側とあまりイメージが変わらないです。梯子が見えますね。
上の段の寝台がわずかに見えています。かつては上段を収納できるようになっていましたが、「北斗星」就業時には既に固定化されていました。
 
国鉄末期頃から洗面所窓は閉塞され、非常口は跡が残っています。
 
この対応は国鉄の各工場でバラバラに行われているため、非常口の閉鎖の仕方にはいくつかバリエーションがあります。上2枚のうち上の写真のように扉の痕跡が目立たない物や、下の写真のように窓上に非常口時代由来の水切りが残り、帯も切れていて扉の痕跡を感じる物。その中間のものなどがありました。
分割民営化後にJR各社でHゴムの黒色化が行われたのに伴い、「北斗星」用でも方向幕とトイレ窓のHゴムが黒になった車両も一部存在しますがごく少数だったようで、ほとんど灰色のままだったようです。模型では黒色になっているものが多いのですが、「北斗星」以外の列車ではHゴムを黒色化したケースが多かったため、模型メーカーの担当者の先入観が影響しているのかもしれませんね。
 
・オハネ25形100番台
24系25形のうち昭和51年以降増備されたもので、登場時から上段寝台が固定式となっていました。通路側の窓に比べ寝台側の窓が低いのが特徴です。
 
こちらが通路側です。0番台とほぼ一緒です。
 
こちらが寝台側です。上段寝台が固定式となったため窓の天地が低く、0番代とかなりイメージが異なりますね。
洗面所窓や非常口については0番台と同様です。
オハネ25形全体では100番台の方が多いのですが、「北斗星」では少数派でした。
 
・オハネ24形0番台
元祖24系客車と言える元3段寝台車です。元はデッキ横に更衣室があり、寝台区画が25形より少なく、窓配置が異なります。「北斗星」ではJR東日本のみ在籍していました。
詳細については会社別の方で記述します。
 
・オハネ24形500番台
24形を名乗っていますが、オハネ14形からの改造編入車です。JR北海道にのみ存在します。詳細は会社別の方で書くことにします。
 
・オハネフ25形0番台
 
24系25形の緩急車です。「北斗星」の緩急車の中では最大勢力で、「北斗星」の「顔」とも言える存在です。
基本的な仕様はオハネ25形0番台と一緒です。
 
 
後部妻面は12系からの伝統の折妻となっています。
1989年に幌が電車形の角張ったものに変化し、従来の収納式幌を撤去して細い幌枠が付けられたため、他区所の24系とは若干イメージが異なります。
左が「北斗星」用、右が「あけぼの」用の一般的な幌枠です。「北斗星」用はやや厳つい形になっていることが判ります。
洗面所窓や非常口、Hゴムの色などはオハネ25形同様となっています。
 
・オハネフ25形200番台
 
 
オハネフ25形としては後期に製造された車両で、後部妻面が薄い折り妻となっているほか、オハネ25形100番台同様、寝台側の窓が小さくなっています
 
やはり1989年に幌枠の形が変わっており、「北斗星」車両の特徴となっています。

上の写真左は一般的な200番台の幌枠(但し写真の車は「あけぼの」用100番台)、右側が「北斗星」の200番台です。0番台同様、細くて角張った幌枠になってますね。
左の100番台の妻面が平面的なのに比べて、右の200番台はわずかに折妻となっていることが判ります。
 
・オハネフ24形0番台
24系24形の基本的な緩急車です。「北斗星」用を持っていないので、「あけぼの」用の写真をご覧くださいw
 
見た目はオハネフ25形0番台と似ていますが、窓配置が異なることが判ります。
これは、元々24形が3段寝台だったのに対して25形は2段寝台だったため、定員の減少を抑えるため区画数を増やしたことに由来します。
オハネ24形0番台同様、「北斗星」ではJR東日本のみ配属していました。
 
・オハネフ24形500番台
24系24形の緩急車・・なのですが、こちらはJR北海道により誕生した14系からの改造編入車です。
珍車中の珍車ですww。詳しくは会社別の方で記載します。
 
 

 
それでは、会社別に個々の形式について見ていきましょう。
 
●JR東日本車
比較的原型に近い大人しめの車両が多いのが特徴で、縁の下の力持ち的ポジションな車両たちです。

・オハネ25形0番台
「北斗星」の中では比較的多数派で、JR東日本担当列車は開放B寝台を長く使ったことから、「北斗星」運転開始以降、1往復化する2008年まで定期列車のほか「エルム」や「夢空間」でも活躍しました。
ほとんどの車両が2008年の1往復化まで活躍後廃車となりましたが、一部青森に転属して「あけぼの」や「日本海」で活躍したものも見られました。また、オハネフ25 14については現在も車籍が残っており、尾久の車庫の片隅で眠っています。
形態的にはHゴムの色以外は個体差も少なく、比較的モデラーに優しい車両ですw
非常口上に水切りのある車両は少なかったようです。Hゴムは上でも少し書いた通り、ほとんど灰色のままでした。確認できている中ではオハネ25 32が黒色化していたようですが、同車は2往復化の時点で青森に移っています。
模型はTomixからバラの単品で売られる事も多く、比較的入手しやすい車両です。ただし、バラ単品はなぜか黒Hゴムなので、こだわるなら灰色に塗り替える必要がありそうです。一方意外にもKATOからはモデル化されていません。
 
・オハネ25形100番台
JR東日本には「北斗星」用もまとまった数が在籍していて、0番台と混用されていました。
2008年の1往復化までは定期列車のほか「エルム」などで活躍しましたが、1往復化後定期運用を失い、約半数が廃車となりました。残りは予備として「北斗星」運行終了まで在籍し、トラブル対応時のピンチヒッターや団臨用として活躍しました。
形態的にはHゴムの色以外は個体差も少なく、比較的モデラーに優しい車両ですw
Hゴムについては灰色が多いものの、0番台よりは黒ゴムになったものが多く(少なくとも228,229が黒色化していたようです。)、非常口上に水切りのある車両は今のところ確認できていません。
模型は0番台同様、模型はTomixからバラの単品で売られる事も多く、比較的入手しやすい車両です。(ただし黒Hゴムです。)一方KATOからはモデル化されていません。
 
・オハネ24形0番台
「北斗星」ではJR東日本のみ所属し、1989年の定期列車3往復化の際に追加配備されました。
25形とは定員が異なるため基本的には混用はされず、主に3往復時代の3・4号や臨時列車の「エルム」で活躍していました。配置は最低限で、3,29,30,44,61の5両でした。
1999年の「カシオペア」登場による2往復化により、3,29,44が青森へ転属して「あけぼの」「日本海」で活躍した他は、2001年に廃車となっています。
形態的は、一般のオハネ24形と異なり、乗務員室窓が埋められていることも特徴です。Hゴムについては、3,44が黒ゴム化していることがわかっている他、非常口も綺麗に埋められ狭幅の窓のみとなっています。他の3両については資料がなく不明です。また、
模型は「エルム」セットにのみ入っていて、比較的入手難易度は高めです。
 
・オハネフ25形0番台
JR東日本のオハネフ25形0番台は8両で、200番台とほぼ同数となっていました。ナンバーは5,6及び、9~14でした。
2006年頃からデジタル無線アンテナが取り付けられています。
2008年の一往復化により一部離脱しましたが、12,13,14が最後まで残り、「北斗星」の終末まで活躍しました。
形態的には、5,6及び12〜14は各部Hゴムが黒になっていたのに対し、10,11は灰色のままでした。非常口上は全車水切りなしだったようです。
模型はTomixのセットには基本セットに含まれる事も多く、増結用としてバラ売りも行われています。一方、やはりKATOからはモデル化されていません。
 
・オハネフ25形200番台
「北斗星」ではJR北海道車は0番台が多いため少数派なイメージですが、JR東日本には7両在籍し、0番台とほぼ同数でした。ナンバーは212~215,217,219,221でした。
東日本仕様の「北斗星」編成はオハネフが3両入ることから、2008年の1往復化までは多数活躍していました。
2006年頃からデジタル無線アンテナが取り付けられています。
2008年の一往復化で半数以上が脱落していますが、214と215が最後まで残り、最終列車も務めています。
形態的には、Hゴムの色と非常口の他、帯のパターンに若干ばらつきがみられます。
Hゴムの色は比較的灰色のままのものが多かった様です。212,213,215,219はHゴムが全て灰色、214,221は車掌室側妻面のHゴムが黒色でした。非常口については、215番は東日本車には珍しく非常口窓上に水切りがあります。また、214は最後の全検で妻面下部の帯が回り込む様になった(上の写真左側の様な形)のが特徴的でした。
模型はTomixの方は近年の基本セットに含まれるものが灰色Hゴム、バラ売りが黒色Hゴムと変化があります。バラうりの方は214と見立てると良さそうです。どちらにしても入手しやすいと言えます。一方、KATOからは東日本車の「北斗星」用オハネフとしては唯一モデル化されていて、DX編成セットに215が含まれています。但し、何故かHゴムは全て黒色です。(まぁ、そこまでメーカーに拘れというのも酷なのですがw)
 
・オハネフ24形0番台
24形の基本的な緩急車ですが、オハネ24形0番台同様、「北斗星」としては後発のデビューとなりました。こちらも定員がオハネフ25形と異なるため、運用は3往復時代の3・4号や「エルム」が基本だった様です。
やはり最低限の配置で、10,12,22の3両のみの配置でした。1999年の2往復化で「北斗星」からは撤退しますが、全車が青森に転属して「あけぼの」等で活躍しました。
形態的には、非常口は水切りなしのタイプ、Hゴムの色は全て黒色でした。JR化後に「北斗星」に加わったからでしょうか。また、幌枠に変更があったのもオハネフ25形同様です。ただし、この幌枠、青森転属時に原型に復旧されたようです。
模型はTomixの「エルム」セットのみで入手可能で、やや入手が難しい状態です。
 
●JR北海道
JR東日本車が比較的大人しかったのに対して、こちらは「北斗星」客車の深淵を感じさせる、なかなかの曲者揃いとなっています。
 
・オハネ25形0番台
JR北海道のオハネ25形0番台は、元々少数で11,15,33の3両のみでした。
同社担当の1・2号が1991年より個室化を推進しているため「北斗星」での活躍は短く、1997年に33はデュエット(B寝台2人個室)に改造されました。残った11と15は「はまなす」用となりました。そのため、廃車は「北斗星」運用終了より遅い2016年3月でした。
 
形態的には、車両自体は大きな特徴はないものの、戸袋のドア点検蓋周りの帯のパターンが東日本車とは異なっています。
洗面所窓は閉塞され、非常口は跡が残っているのは東日本車同様ですが、元非常口の窓上に水切りが残存しているの車両が多いのが特徴でした。Hゴムはいずれも灰色のままでした。
模型はTomixの「北海道仕様」のセットに含まれるほか、「はまなす」セットでも見られる様です。入手難易度は低めです。非常口上の水切りや灰色Hゴムがしっかり再現されています。
KATOは所謂旧製品のセットやバラ売りで製品化されていたほか、「はまなす」セットに11番が含まれています。旧製品は歴史の古い製品であるため比較的個体差のディテールに大らかな時代のものであり、細かな形態はフォローしていないと思われます。
 
・オハネ25形100番台
JR北海道のオハネ25形100番台は少数派で、227,240,241の3両でした。やはり個室化政策の煽りを受け、3両とも1997年までにデュエットに改造され消滅してしまいました。
形態的には0番台同様、戸袋付近の帯のパターンが東日本車と異なります。洗面所窓や非常口は0番台同様です。
模型は比較的マイナーな存在であるためか、Tomixの「北海道仕様(現在発売中の1・2号)」のセットに含まれているのみです。KATOの方からはモデル化されていません。
 
・オハネ24形500番台
こちらはJR北海道のみに存在する形式番台区分で、24系24形を名乗っていますが3・4号定期化にの際にオハネ14形500番台から改造編入された車両です。
501〜504の4両が在籍し、「はまなす」と「北斗星」で使用していましたました。オハネ25形と定員が異なるため、「北斗星」としては3往復時代の3・4号専業でした。1999年の2往復化後は一部離脱のほかは「はまなす」用になりましたが、一往復化後の2011年にデュエット予備車捻出に伴って「北斗星」に復帰しています。(もっとも、オハネ24形500番台が担当する事は稀だったようです。)
さて、形態的にはかなり趣味的に面白いものになっていて、上記の通り14系からの改造車であるため各部の特徴は14系のものとなっており、一見変哲もない車両に見えますがシリンダー付の台車やHゴム付のドアなど、かなり特徴的な姿となっています。
全体的には「金帯になったオハネ14 500」といった風情ですが、洗面所窓が埋められた他、非常口も窓ごと埋められて痕跡が無いのが特徴的です。
 
模型はズバリ、Tomixの「北斗星3・4号北海道仕様セット」のみで、これは瞬殺アイテムだったこともあって入手は非常に困難となってあます。もちろんKATOからはモデル化されていませんw
 
・オハネフ25形0番台
JR東日本同様、北海道仕様の「北斗星」の緩急車では多数派で、紛れもなく「北斗星」の顔役です。
元々6両の陣容で、個室化政策に伴って1991年から2,4,8,15が寝台区画の通路側にガラスの仕切りを付けて、個室風に使用可能なBコンパートメントとなっています。解放式のまま残った3,7は「はまなす」用となりましたが、一往復化後の2011年にデュエット予備車捻出に伴って「北斗星」に復帰しています。
Bコンパートとなった全車とも定期列車の「北斗星」フィナーレまで活躍後廃車となりました。一方「はまなす」兼用となった3と7は「はまなす」廃止まで生き延びました。
形態的には、幌枠や無線アンテナなどは東日本車と同様です。非常口上には水切りがあり、Hゴムはいずれも灰色のままのようです。また、北海道車特有の特徴としてはドア横の縦雨樋が凍結対策のため露出していることで、これは他の北海道車にもよく見られる特徴となっています。(位置は異なるものの、同じく酷寒地の青森所属の24系にも縦樋が露出した車両が見られます。)
なお、この縦樋露出化対応は2000~2002年頃に行われた様で、それ以前は露出していない車両があることを確認しています。
模型はTomixの混成編成セットや北海道仕様セットに大抵含まれています。ただし、残念ながら北海道車特有の縦樋は再現されていません。(もっとも、現行で売られている1・2号北海道仕様セットはプロトタイプが1990~1991年なので、縦樋なしが正しいです。)KATOの北斗星編成セットに含まれるのも大抵このグループで、旧製品オハネフはこのグループであるほか、DX編成セットにも8番が含まれ、こちらは縦樋も表現されています。しかしやはり何故かHゴムが黒。残念ですね。これも北斗星の沼の深さ故でしょうかww
 
・オハネフ25形200番台
JR北海道のオハネフ25形200番台はよりも少数派で、216,218,220のみの在籍でした。「北斗星」1・2号専業でしたが、個室化政策発動に伴ってはやくも1991年には218と220が離脱。「はまなす」用にスハネフ14形550番台に改造されました。残った216番は「はまなす」用となるものの、0番台の3,7番と同様2011年以降に「北斗星」にも復帰しています。
ただ、「北斗星」定期列車運用終了後に、「はまなす」の運用終了をまたずに廃車となりました。
形態的には、幌枠は東日本車同様ですが、非常口上には水切りがあり、Hゴムはいずれも灰色のままのようです。2006年以前に「北斗星」から退いているため、無線アンテナはありませんでした。
216番は、晩年には車掌室屋根部分の塗り分けが変更されており、クーラーより車端側にも灰色部分が見られます。
模型はマイナーな存在だけあってか、Tomixからかろうじて現行の1・2号北海道仕様セットに含まれているのみです。プロトタイプが1991年までの仕様であるため、かなり用途は限られます。KATOからは出ていません。
まぁ、うちには既にいるんですけどねw
 
・オハネフ24形500番台
知る人ぞ知る、JR北海道を代表する珍車の中の珍車ですw
模型を持ってないので画像を出せないのが残念でなりませんwwww
 ついに入手してしまいました!
 
この妻面はヤバいですねww
 
さてこの珍車、上で書いたとおり、オハネ14形500番台からの改造車です。
ところがこの車両、改造内容がおよそ12系以降の「新系列客車」とは思えぬ凄まじいものでした。
通常であればデッキ寄りの車端部分を切り落として車掌室ブロックを取り付けるといった改造がなされるところなのですが、オハネフ24 500ではデッキの位置は種車そのまま。車掌室はデッキより内側に更衣室と寝台区画一つを潰し、元の乗務員室を拡大する形で設けてあります。妻面は開き戸のトレインマーク付貫通扉と監視窓こそついていますが、中間車由来の無骨な平面となっており、さながら10系寝台車の「オハネフ12形の現代版」といった様相で、24系を名乗りながら旧客テイストを漂わせる(しかもデッキ照明は白熱灯だった)逸品となっておりますwww
2両のみの存在で、501番と502番が存在します。が、たった2両なのに形態が異なるというJR北海道改造車らしい混沌ぶりで、501はJRマーク付でドアのHゴムが黒色、502はJRマークなしでドアのHゴムが灰色という差異がある他、501に至っては2010年の全検で通路側の窓上の金帯が斜め(デッキ側は正当な位置だが、洗面所側は上にズレている)に貼られているという衝撃的な姿(しかも廃車までそのままだった)となっていましたwww
登場後暫くは当初予定どおり3・4号に連結されて活躍しましたが、1999年の二往復化後は団臨や「はまなす」の予備となっていました。何気に「夢空間」に連結されて活躍したことも結構あったようです。特徴的な後部姿を「北斗星」で晒すことは無かった様ですが、団臨では「北斗星」のトレインマークも誇らしげに掲げて最後部を務めたこともあったようです。
2011年のデュエット予備捻出対策以降は「北斗星」にも復帰。比較的多く活躍する姿が見られたようです。2015年3月の定期運行廃止時に引退、いろんな意味で伝説を作ったこの珍車は廃車となりました。
模型はなんとマイクロエースとTomixからセットに含まれる形で製品化されているのですが、どちらも瞬殺アイテムで入手困難です。オクでセットのバラし品が時折でてきますが、機関車並みの高値にもかかわらず落札者がいる状況です。また再販してくれないかなぁw
当然?ながら、KATOからはモデル化されていませんw
 まかり間違って入手した際には、ここに再掲したいと思いますwwww
 まかり間違って入手してしまいましたww

中間に挟むとオハネフには見えないですねw
デッキ横の細窓が元更衣室部分に設置された車掌室になります。
模型はJRマークがないので502番になります。
 
今回はここまで。
次はソロやデュエット・・・と行きたいところですが、まだ入手できていないのでツインDXを紹介したいと思います。

寝台特急「北斗星」の深き沼 その5

毎度ご覧いただきありがとうございます。

 

前回に続いて「北斗星」歴史編。

今回は後半1990年代末からスタートです。

 

 

第四章.新星「カシオペア」登場!「北斗星」は円熟期へ

 

20世紀も世紀末が迫った1999年。JR東日本は北海道向けに新たな列車を登場させます。

ステンレスボディーの新型客車E26系を擁する「カシオペア」号です。

写真は既にEF510牽引となっていますが、登場当初は上野-青森間はEF81牽引で、カシオペア用の専用カラーの機関車も用意されました。

当時、JRグループで寝台客車の新規形式を作るのは初めてのことで、E231系グリーン車の車体構造を応用した総二階建てのステンレスボディーは、これまでの客車と一線を画するものになりました。

設備は全車A寝台で、「北斗星」の「ロイヤル」を上回る「カシオペアスイート」や「ツインDX」の豪華版ともいえる「カシオペアツイン」等で構成されています。

この豪華列車「カシオペア」は1編成のみ用意されたため、運行は1つの編成が往復する形となり、上野発が月・木・土曜、札幌発が火・金・日曜日という運転体系となり、水曜は運休となりました。

 

さて、「カシオペア」が登場する一方で、「北斗星」は定期列車が3往復から2往復に減便され、JR東日本・北海道で交互に担当していた3・4号が臨時列車の81・82号となり、これまでの5・6号が3・4号にスライドする形となりました。

 

編成は以下のようになります。

 

北斗星1・2号(JR北海道担当)

号車番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11  
設備 Bコンパート デュエット デュエット デュエット ソロ ソロ・
ミニロビー
食堂車 ツインDX ロイヤル・
ソロ
ロイヤル・
デュエット
Bコンパート 電源車

 

北斗星3・4号(JR東日本担当)

号車番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11  
設備 B寝台 B寝台 B寝台 B寝台 B寝台 ロビーカー 食堂車 ツインDX ロイヤル・
ソロ
ロイヤル・
デュエット
B寝台 電源車

 

「北斗星」の定期列車は減ったものの、多客時には臨時の81・82号や「夢空間」を連結した「夢空間北斗星」、モノクラスの「エルム」も運転され、「カシオペア」を加えた上野-札幌間の夜行列車は一層にぎやかなラインナップになったと言えるでしょう。

 

 

 

第五章.「夢空間」離脱と「北斗星」の黄昏

 

「カシオペア」を加えて隆盛を極めていた「北斗星」ですが、使用している24系客車は元々の製造が1973~1980年と老朽化していること、北海道新幹線計画の進捗が進んだことに加え、観光列車の需要も減少傾向になりつつあり、先行きが怪しくなってきます。

 

2003年、「北斗星」に華を添えていた「夢空間」が多客臨(一般の人が乗れる臨時列車)から脱退し、基本的に団体専用になっていきます。この後も「夢空間北斗星」の名を称する列車は運行されますが、団体専用列車としての運転になりました。

 

2004年には利用率の低下に伴い、3・4号が閑散期(4~6月)に個室比率を増やす施策がとられます。

この時は以下のような編成になりました。

 

北斗星3・4号(JR東日本担当)

号車番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11  
設備 B寝台 ツインDX ロイヤル・
ソロ
ロイヤル・
デュエット
B寝台 ロビーカー 食堂車 ツインDX ロイヤル・
ソロ
ロイヤル・
デュエット
B寝台 電源車

 

ちょうどB寝台3両が8~10号車と同じ内容に置き換わった形になります。

 

ロイヤル4両連結のリッチな編成で豪華さはアップしますが、定員は低下しており、逆に言えばこれでも需要は満たせるということでもありました。この施策は2007年まで続けられました。

なお、この「豪華編成」は、奇しくも2015年の臨時化後と同じものでした。

また、上記以外の期間では2~4号車はB寝台ではあるものの、実際には2・3号車が欠車となるケースも多くみられたようです。

一方で、1・2号については特に動きはなく、比較的快調だったようです。

2006年には臨時の北斗星が廃止。2007年には北斗星用のB寝台車を使った輸送力列車「エルム」が廃止となります。

こうして、次第に「北斗星」とそのファミリーは本数を減らしていくのでした。

 

第六章.北海道新幹線の足音と「北斗星」の終焉

 

2008年。北海道新幹線の工事進捗にともない、青函トンネルの新幹線対応工事の時間を作るため、定期列車の「北斗星」は1往復体制となりました。

これまでJR東日本とJR北海道で1本ずつ受け持ってきた「北斗星」でしたが、1往復を双方の車両で賄うことになりました。

これに伴い、以下のような編成を組むことになりました。

 

北斗星号(JR北海道・東日本共同運行)

号車番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11  
設備 Bコンパート デュエット デュエット デュエット ソロ ソロ・
ミニロビー
食堂車 ツインDX ロイヤル・
ソロ
ロイヤル・
デュエット
B寝台 電源車
所属 JR北海道 JR東日本

 

一見車種構成は1・2号と似ていますが、1~5号車がJR北海道、6~11・電源車がJR東日本の車両で編成が組まれ、異例の他社間での編成組成となりました。これに伴い、11号車はBコンパートメントから、解放式のB寝台となっています。

一方で「カシオペア」は特に変化もなく、相変わらず1週間に3往復の体制で走っていました。

 

これに伴い、余剰となったJR北海道の「ツインDX」、「ロイヤル・ソロ」、「ロイヤル・デュエット」、食堂車は既に車齢が40年近いこともあって廃車となり、一部が遠くミャンマーに旅立って行きました。なお、JR北海道で唯一の「ロビーカー」で、特異な外観から異彩を放つオハ25 551は、99年以降運用がなくなり、主に臨時列車用として活躍していましたが、ついにここで力尽きることになりました。

また、JR東日本の客車もB寝台車の一部が一部予備を残して廃車となっています。こちらも「ロビーカー」が余剰となり軒並み廃車となりましたが、1両は予備車として残り、「北斗星」全車ロビーカーは辛うじて命運を繋ぐことになりました。これが後程思わぬ活躍をすることになります。

 

一方、「北斗星」ファミリーとして活躍した豪華客車「夢空間」も老朽化という名目で2008年3月を最後に廃車となってしまいました。

24系の中では唯一の平成生まれでしたが、他の先輩たちより先に鉄路から去っていったことになります。

なお、クルーズトレインの先駆けとも言える「夢空間」客車は3両とも静態保存され、現在もその姿を見ることが可能です。

 

徐々に先行きが怪しくなってきた「北斗星」ですが、明るい話題もありました。

上野-青森を長距離運行しているEF81形電気機関車の老朽化が問題となってきたことから、2010年に新型の電気機関車EF510形500番台が「北斗星」と「カシオペア」に投入されます。

 
 

 

定期のブルートレインにJR世代の新型機関車が投入されるのは初めてのことで、「北斗星」「カシオペア」の塗装に合わせた装いとなっています。

なお、EF510形はJR貨物が開発した交直両用のインバータ機関車ですが、完全新規形式とならずに貨物用機関車がベースとなった背景には、「北斗星」「カシオペア」撤退後にJR貨物へ売却される前提があったと言われています。北海道新幹線開業後に廃止となるのは、概ね既定路線だったということなのでしょうね。

 

さて、JR北海道担当の1~5号車の「ソロ」と「デュエット」ですが、「ソロ」はわずか2両、「デュエット」も6両しかない状態で、1往復とはいえ予備のない状態となっていました。そこで、検査時の余裕を持たせるため、2011年2月ごろから、2号車が変更となり以下のようになりました。

 

北斗星号(JR北海道・東日本共同運行)

号車番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11  
設備 Bコンパート B寝台 デュエット デュエット ソロ ソロ・
ミニロビー
食堂車 ツインDX ロイヤル・
ソロ
ロイヤル・
デュエット
B寝台 電源車
所属 JR北海道 JR東日本

 

2号車のB寝台には「はまなす」で使用されている予備車が使用され、珍車「オハネフ24形500番台」が担当する姿も多くみられました。

直後に発生した東日本大震災でしばらく運休となり、一部鉄ヲタの間では「このまま廃止となるのではないか」という危惧もありましたが、無事に復活して一息ついた形となりました。

しかしながら、時の流れは無情で、新幹線の工事は進展する一方で「北斗星」客車は老朽化が進んでいきました。

また、強い自粛ムードや消費税率のアップなどで世の中全体に余裕がなくなってきたことで利用客が減少したことも重なり、2015年に「北斗星」はついに最終章を迎えることになります。

 

2015年3月13日。北海道新幹線の試験走行で線路をあけるため、ついに「北斗星」の定期運行を終了。4月から臨時列車扱いとなり、「カシオペア」との交互運行されることになりました。これに伴い、JR北海道車は運用を撤退し、JR東日本の車両のみで運行されることになります。

臨時化後の編成は以下のようになりました。

 

北斗星号(JR東日本担当)

号車番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11  
設備 B寝台 ツインDX ロイヤル・
ソロ
ロイヤル・
デュエット
B寝台 ロビーカー 食堂車 ツインDX ロイヤル・
ソロ
ロイヤル・
デュエット
B寝台 電源車

 

上記の通り、2004~2007年の閑散期と同じ内容ではありますが、ロイヤル付きの客車を4両もつないだ豪華版となりました。

豪華寝台特急と言われた「北斗星」のラストを飾るのに相応しい編成になったと言えるのかもしれません。

6号車には全室ロビーカー連結されてます。7年ぶりの復活になりますが、2008年以降定期運用を失って以来、訓練や突発的なイレギュラーの発生以外では尾久の車庫の片隅で眠っていたオハ25 503が奇跡の復活を遂げています。

 

 

一方で、1~6号車を務めていたJR北海道所属の車両はさすがに老朽化が激しく、全車廃車となりました。

 

余談ですが、これにともないEF510形500番台に余剰が発生し、当初の予測通り大半が順次JR貨物に転職。日本海側の貨物を牽引することになりました。残りはカシオペア塗装を含めて5両のみとなりました。

 

弟分の「カシオペア」と共に半定期列車として、また日本国内最後のブルートレインとして走っていた「北斗星」でしたが、ついに終焉が訪れます。

運転継続の可能性も模索された様ですが、昼間は新幹線、夜間は貨物列車が多数走行する青函トンネルにおいて、保守の時間帯を取るには夜行列車を走らせる余裕がないことや、24系客車の老朽化が深刻化している事などを受け、ついに廃止が決定されました。

 

青函トンネル開業と同時に誕生し27年間、多くの夢を乗せて走ってきた「北斗星」は、上野発は2015年8月21日に、札幌発は2015年8月22日に最終列車が運行され、多くのファンに見送られながら鉄路を去っていきました。

そして、多くのファンを魅了した青い客車達は、さすがに車齢40年近くの車両ばかりで、一部の保存車を除き、帰らぬ旅へ赴いたのでした。

 

 

 

余談ながら、弟分の「カシオペア」も翌年3月に運行を終了。こちらはまだ車両が若いため、クルーズ列車に転身することになりました。

 

以上で歴史編は終わりです。

 

次回からはいよいよこのシリーズの本丸である、客車編に移って参ります。

 

寝台特急「北斗星」の深き沼 その4

毎度ご覧いただきありがとうございます。

 

久々に毎日更新していましたが、書き溜めていた部分が尽きた&内容が少しガッツリになるのでここからは少しペースが落ちる予定です。

長い目でお付き合いいただければ幸いです。

 

ここまで導入の経緯や車両増備の過程について書いてきましたが、ここからは実車の解説や模型自体の加工について書いていきます。一連の投稿を通じて、一見華やかに見えた「北斗星」の「深み」について知っていただければ幸いです。

 

今回から数回にかけて「北斗星」車両の深い沼について語るうえで、その背景となる歴史や基礎知識について書いていきます。

まずは、「北斗星」の歴史からおさらいしていきましょう。

 

 

第二部・寝台特急「北斗星」の歴史

 

第一章.豪華寝台特急「北斗星」誕生

 

時は昭和63年。時代は国鉄分割民営化直後。バブル景気真っ只中で、JR各社も「脱国鉄」で様々な工夫・アピールを行っていました。そんな中、国鉄時代から長期間かけて推進してきた巨大プロジェクト、青函トンネルが完成し、ついに本州と北海道がレールで結ばれることになったのでした。

 

寝台特急「北斗星」はそんな背景の中、このトンネル開通を契機として登場した上野-札幌を結ぶ寝台特急列車です。

名目上は常磐線経由で上野-青森を結んでいた寝台特急「ゆうづる」の延長運転ということになっていましたが、「ゆうづる」が常磐線経由だったのに対し、「北斗星」は東北本線経由となりました。

 

運行はJR東日本とJR北海道が受け持ち、定期列車2往復、季節列車1往復の3往復体制でスタートしました。

運行する車両もJR東日本と北海道でそれぞれ受け持つことになり、1・2号はJR北海道が5・6号はJR東日本が担当。季節列車の3・4号はJR東日本担当となりました。

運行開始当初の編成は以下の通りでした。

 

北斗星1・2号(JR北海道担当)

号車番号   1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
設備 電源車 B寝台 B寝台 ロイヤル・
デュエット
ツインDX ソロ・
ミニロビー
食堂車 B寝台 B寝台 B寝台 B寝台

 

北斗星3・4号(JR東日本担当)

号車番号   1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
設備 電源車 B寝台 B寝台 B寝台 B寝台 B寝台 B寝台 B寝台 B寝台 B寝台 B寝台

 

北斗星5・6号(JR東日本担当)

号車番号   1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
設備 電源車 B寝台 B寝台 ロイヤル・
ソロ
ツインDX ロビーカー 食堂車 B寝台 B寝台 B寝台 B寝台

 

電源車込みで11両の編成で、編成内容が3往復ですべて異なっていることが判ります。

輸送力列車の3・4号は別として、1・2号と5・6号で連結順序や設備が若干異なっているが面白いところです。

 

史上初の一般客が乗れる本州-北海道直通列車(注:戦後まもなく、駐留軍用の連絡船を使った直通列車があった。また、貨物や荷物列車は連絡船を使った直通運用があった。)ということもあり、担当するJRもこの「北斗星」にたいする意気込みは大きなもので、用意する客車は従来から使っていた24系客車でありながら、様々な改造や工夫がこらされて、他の24系使用列車と大きく異なるものとなりました。その中でも特筆されるのはやはり、従来の夜行列車の設備とは一線を画す「ロイヤル」の存在です。

 

 

一人用でありながら、スペースと専用のシャワールームに大きなベットのほか、テレビモニターや一人掛けソファ、机等を有し、ビジネスホテル並みの設備を誇っており、「北斗星」を豪華列車としての位置づけを不動のものにしました。

JRとしては広告塔のつもりであったようですが、時代はバブル景気真っ只中。金のあるところには金があるもので、1列車にたった2部屋の「ロイヤル」はプラチナチケットと化したのでした。

また、ロイヤル以外にもラウンジスペースであるロビーカーや、ゴージャスな雰囲気を醸し出しコース料理も提供される食堂車「グランシャリオ」、B寝台の1区画分のスペースを二人で使用できる個室となっているツインDX、A寝台ながら個室となっているソロ・デュエットが連結されて、華やかなラインナップとなり人気を集めました。

 

種々の豪華設備と青函トンネルの開通ブームも手伝って「北斗星」の利用率は上々で、JRは早くもテコ入れすることになるのでした。

 

機関車は

上野~青森間はEF81

青森~函館間はED79

函館~札幌は非電化区間ありかつ勾配区間を有するため、DD51が重連で担当する事になりました。

EF81は電化方式が切り替わる黒磯駅をスルー運転できるように対応されたものが充当され、寝台特急をイメージする流れ星マークがあしらわれました。

 

 

第二章.「ロイヤル」追加、列車は常時3往復体制へ

 

運行開始後の利用実態をフィードバックしたJR各社はさらなる攻めの戦略に出ます。

1989年3月改正でモノクラスだった3・4号を定期列車に昇格します。さらに、JR東日本担当の5・6号はロイヤル付きの車両を増結し、電源車を含めて12両の体制となるのでした。

一方、この時点では1・2号は通り抜け対策としてソロ・ロビーと食堂車の連結位置が入れ替わるのみにとどまっています。なお、モノクラスの輸送力列車は「エルム」と名乗り、臨時列車として運行されることになります。

編成は以下のようになります。

 

北斗星1・2号(JR北海道担当)

号車番号   1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
設備 電源車 B寝台 B寝台 ロイヤル・
デュエット
ツインDX 食堂車 ソロ・
ミニロビー
B寝台 B寝台 B寝台 B寝台

 

北斗星3・4号(JR北海道・JR東日本が交互に担当)

号車番号   1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
設備 電源車 B寝台 ロイヤル・
デュエット
ロイヤル・
ソロ
ツインDX 食堂車 ロビーカー B寝台 B寝台 B寝台 B寝台 B寝台

 

北斗星5・6号(JR東日本担当)

号車番号   1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
設備 電源車 B寝台 ロイヤル・
デュエット
ロイヤル・
ソロ
ツインDX 食堂車 ロビーカー B寝台 B寝台 B寝台 B寝台 B寝台

 

新たな3・4号はJR東日本とJR北海道が1日おきに担当することになり、編成の内容はJR東日本編成と統一されました。

JR東日本は「ロイヤル・デュエット」が、JR北海道は「ロビーカー」と「ロイヤル・ソロ」が新たな車種となりラインナップに加わります。また、予備を確保するため、従来車種についても増備が行われましたが、1年間の使用実績に基づいて細かな改良や仕様変更が行われており、このことが模型的な観点での「沼」を深めることになりました。

また、両社ともB寝台車を増強し、JR東日本は遊休となっていた24系24形が応援に入り、JR北海道は14系寝台車を改造して24系24形を揃えました。こうして、「北斗星」客車のラインナップはますます増えていったのです。

 

一方、この年にJR東日本は「次世代の寝台車」というキーワードで「夢空間」というコンセプトカーを誕生させます。概要は第一部の繰り返しになりますが、「展望食堂車」「バー・ラウンジカー」「豪華寝台車」からなる構成で、あくまでコンセプトカーであり、当面運用は考えないとされていました。しかしながら、この豪華車両が今後の「北斗星」と大きなかかわりを持ってくることになります。

 

余談ですが、このころJR西日本が「トワイライトエクスプレス」と誕生させます。当初はクルーズ用として製造されますが、追加で編成が用意され、半定期的に大阪-札幌間を結ぶ列車となりました。「トワイライトエクスプレス」は「北斗星」以上の設備を誇り、「北斗星」と共に北海道夜行の華となるのでした。

 

 なお、北海道内を担当する機関車のDD51は、この頃から国鉄時代と同じ塗装から、北斗星客車に合わせた青を基調とし、EF81とは異なる流れ星マークが描かれる様になっています。

 

第三章.さらに豪華になる「北斗星」

 

観光列車としての側面も持つ「北斗星」人気は順調で、JR北海道も「ロイヤル」増結のためテコ入れを図ってきます。

 

1990年ダイヤ改正では、以下のような編成になりました。

 

北斗星1・2号(JR北海道担当)

号車番号   1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
設備 電源車 B寝台 ロイヤル・
デュエット
ロイヤル・
ソロ
ツインDX 食堂車 ソロ・
ミニロビー
B寝台 B寝台 B寝台 B寝台 B寝台

 

北斗星3・4号(JR北海道・JR東日本が交互に担当)

号車番号   1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
設備 電源車 B寝台 ロイヤル・
デュエット
ロイヤル・
ソロ
ツインDX 食堂車 ロビーカー B寝台 B寝台 B寝台 B寝台 B寝台

 

北斗星5・6号(JR東日本担当)

号車番号   1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
設備 電源車 B寝台 ロイヤル・
デュエット
ロイヤル・
ソロ
ツインDX 食堂車 ロビーカー B寝台 B寝台 B寝台 B寝台 B寝台

 

JR北海道が増備した「ロイヤル・ソロ」は3・4号運行開始時に用意したものと基本的には同じであるものの、細かな変更点が発生しています。また、ツインDXの増強車両として14系寝台車を改造しましたが、JR北海道独自の仕様が盛り込まれた非常に個性的な車両となりました。

一方JR東日本編成については変化がなく、この体制が今後長期間続くことになるのでした。

 

1990年でもう一つ大きなトピックスとしては、「夢空間」車両が北斗星のラインナップに加わった事でしょう。

 

 

繁忙期に定期列車とは別に、石勝線に乗り入れる臨時列車「北斗星トマムスキー」のほか、「夢空間北斗星」号としても走行しました。

編成は夢空間車両と北斗星客車を組み合わせたもので、様々な編成が組まれました。

こうして「北斗星」はさらに華やかになっていくのでした。

 

さて、JR北海道担当の北斗星はさらに進化していくことになります。

B寝台車を改造して、1997年までに順次ソロやデュエットを連結。最終的には全車が個室という偉業を成し遂げます。

 

1・2号の最終的なスタイルはこんな編成になりました。

 

北斗星1・2号(JR北海道担当)

号車番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11  
設備 Bコンパート デュエット デュエット デュエット ソロ ソロ・
ミニロビー
食堂車 ツインDX ロイヤル・
ソロ
ロイヤル・
デュエット
Bコンパート 電源車

 

諸々の事情により1991年に編成順序が逆になっています。(これは3・4・5・6号も同様)

Bコンパートは普通のB寝台に仕切りを設けて4人用個室として利用できるというもので、通常は普通のB寝台として扱い、グループで1区画撮った場合に車掌に申告して区画を締め切るようにできるというものでした。

なお、ソロとデュエットについてはギリギリの数のみ用意され、検査などで離脱した際は普通のB寝台を使用していました。

 

このころが「北斗星」の黄金期だったと言えるでしょう。

 

 

長くなったので、次回に続きます。